2010-2012年、MIT Sloan MBAプログラムに留学していました。アカデミックな話題から、ボストン生活、趣味まで、日々感じることを書いています。

April 19, 2010

売れるのは全てではないか?

売れるのが全てではないか、という話。

あの福山雅治という俳優が、「売れてないときには売れてない人が周りに集まってくるんですよ。そして売れるのがすべてではない、というんですよ。それはおかしい」と話していた。頂点を見るからこそ、そうでない人の気持ちが理解できる。類は友を呼ぶ。そして、登らないと見えない景色がある。

これを「MBAなんて役に立たない」と言っている人にも当てはめてみる。その人にとって、MBAは意味がないかもしれない。でも、それを人に押し付けるのが正しいかというと、そんなことはない。自分にとって意味があると思えたら、まっすぐ進めばいい。そして、そんなことを言ってくる人には真っ向から言い返せるだけの強い言葉と強い気持ちを持ってほしい。どこの類に入るか、それは個人の自由であり、行動である。別にMBAが上だとか唯一だとかそういうことを言っているわけではなくて、自分にとって登りたい山があるならば、登らない人に惑わされず、言い訳せずに全力で登れ、ということだ。そこに想いをともにし、似たようなアプローチで世の中に向かおうとしている仲間を見つけることができるはずだ。

誰が何と言おうと、言い訳をしないで済むために、我々は、成功しなければならない。価値観は自分で決めていい。

April 13, 2010

MBAなんて役に立たないと言われたら

「MBAなんて役に立たない」これもMBAを目指すことになってから、何度も何度も言われたことである。

そんなままごとをしている暇があったら、海外の会社で働くほうがよっぽどためになるとか、そもそもコンサル実務でやることと大差ない(新しいものはない)、とか、今更この歳で取っても無駄、とか、まあとにかく世間のMBAに対する物言いは手厳しい。

私自身繰り返しそんなことを言われ、自分にとってはMBAはとても魅力的なオプションであるにもかかわらず、他人からの問いに対してうまいカウンターパンチを持っていないことにフラストレーションを覚えた。それと同時に、その問いかけ自体に何とも言えない違和感を感じてもいた。そして、その違和感がどこから来るのか、受験が終わった今ようやくわかってきた気がしている。

それは、私は理屈じゃなくて行きたかった、ということである。キャリア上絶対必要だとか、そんな風には思わなかった。そうではなく、単純に楽しそうだから、自分にとって未知のものだから、刺激の多い人生を送りたいと思ったから、だから日本を出てMBAに行こうと思った。キャリア云々より、人生のこの時点での、生活全部ひっくるめての想いだった。もし仕事のためだけにMBAを志す人がいるとしたら、それはすごいことだと思うが、私はそうではなかった。

私にとっては、MBAでの生活はとても魅力的で、何より楽しそうだった。世界各国から、自分とは違う人生を送ってきた人が集まって来る場で、新しい経験ができると思った。そこで人間として成長できると思った。実際にMBAの2年間を過ごした卒業生にたくさん会って、学校も見に行って在校生と話して、その確信を強めた。

他の誰から何を言われようが、行くのは自分であって、何かを言う人たちには一切関係ない。人に必要だからって言われたらやるのか?人に止めろって言われるとやめるのか?投資対効果とか機会損失とか、それも人並みに考えたけど、あまり意味がないことに気付いた。2年間の大学院生活が、ビジネス上で(他の何かよりも)役に立つとか立たないとか、考えてもよくわからなかった。ただ、それでもMBAに行きたいという気持ちは消えなかった。自分が人生の中でどんな体験をしたいか、結局はそれだった。

身も蓋もない言い方であるが、結局のところ、MBAを持っていない人がMBAについて言及する場合、究極的には議論のしようがない、と今は思っている。 MBAは意味がないと言ってくる(たいていの)相手にはMBAの経験がないのだから、それがいかに役に立たないかを教えてくれることはない。一方で、これから目指そうとする受験生側は当然MBAがどんなものかまだ体験していないから、意義について正確に捉え切り返すことはできない。すなわち、双方ともMBAについての実体験を持たないのであるから、その人たちがいかにMBAの意味について考えたとしても、深みのある議論にはなりえない。

少なくともこれから学ぼうとする時点で、MBAは「私にとっては」意味があると思えている。この、私にとっては、というところが重要なのだと思う。それが真実かどうかは、これから2年間かけて確かめればいい。もしMBAが、私の想像と違ったものであったとしても、それは私の決断の結果であるのだから、後悔することはないと思う。でも、MBAに行かずに「やっぱり行きたかったなあ」と思って生きていくとしたら、それは私はものすごい後悔するだろうから。

だから、もしあなたがMBAを目指すことを既に決断していて、そんな居心地の悪い質問に出くわしたならば、その時は元気に、「自分にとっては意味があると考えたのです」と答えればよい。人がどう思おうが、一切関係ない。1千万円以上の大金を払うのも、2年間という時間を投資するのもあなた自身だ。決してあなたに「MBAなんて意味ない」と言ってくる人ではない。その人はあなたの人生に責任を取ってはくれない。自分の人生は、自分の信じるように生きてよいはずだ。

楽しいと思えるほうへ、心の底から思うとおりに。