2010-2012年、MIT Sloan MBAプログラムに留学していました。アカデミックな話題から、ボストン生活、趣味まで、日々感じることを書いています。

June 10, 2012

2年目を迎える方々へ


今日はこれからMBA2年生になる方々へ。

1年目、超多忙な中新しいことを貪欲に追いかけ、あっという間に長い夏休み。インターン前後で学校と少し距離を置いて立ち止まり、残り一年のフォーカスを考える、そういう時期だと思います。昨年同じような気持ちになった身として、いくつかアドバイス的なものを。

1)原点に戻る。私が1年前にC11の方が卒業する際にお話を聞いたところ、「卒業後に次の仕事が待っているとして、どんなことができるようになっていたいか、そういう観点で授業を選び、活動するとよい。そして、もう一回原点に戻ることが大切」とアドバイスされました。入学前にエッセイで書いた夢想と、1年実際に過ごした実態の差分を、将来に向けて埋めに行く、その視点はとても役立ちました。

2)もう一度コンフォートゾーンから出る。2年目が始まってしばらくすると、すべてが2周目なので慣れて来て、快適になってきます。そこが注意で、2年間のうち半分を挑戦しないで終わってしまうのはとてももったいない。私の場合はケネディスクールに行ったのはけっこう役に立って、全くのアウェイで再度クラスで人間関係を構築して行かなければならない。その経験がよかったです。別に新しい人に会うことだけがコンフォートゾーンから出ることではないので、それにこだわる必要はないですが、易きに流されない環境づくりは大切と思います。苦しいことを、やる。

3)目標は具体的に。私の場合は、例えばBHP(というバーでの毎週のクラスメイトの集まり)に「なるべく」行くではなく「毎週」行くとか。なるべくだと課題とかが入った時にすぐそちらを優先してしまう。それが毎週だと、木曜提出の課題は水曜22時までに終わらせていなければならない、でも水曜日は20時まで授業があるということで、なんなら火曜の夜に死ぬ気で終わらせるとか。もう会社のKPI設定と同じで、具体的にし切らないとふわっとして終わってしまうというのがわかりました。

残りの1年、今度は地固めができた後だからこそやれることがあります。みなさんが更に健康で充実した日を過ごし、MBAを満喫しきることを祈っています。

June 9, 2012

2年間の振り返り


MBA2年間の振り返り。

この2年で、自分は何を学んだだろうか。知識レベルのことはもちろんだが、リーダーシップというわけのわからないものの理解がちょっと深まっただけでも、この2年間は学費を払っておつりが来る期間だった。リーダーがいるわけではなく、リーダーシップという行動がある。それは自分を危険にさらす。そしてあなたの行動は人に行動を強いる。その踏み出したらもう戻れない行動を他人にさせることに、あなたは責任を持たなければならない。それが正しい方向に向かっていることを信じれば、できる。そんなことを学んだ。いくつかの活動を通じ、体で感じた。そしてリーダーシップを発揮しなければいけない局面に鼻が利くようになったので、今後それが来たら逃げずに立ち向かおうと思う。

そして社交に精を出した成果として、有形のネットワークと、同時にコミュニケーションの体の動かし方というソフトスキルが身に付いた気がする。つまり、会話の型(イントロ、トピック選定、膨らませ方、ジョーク、去り方)みたいなものを徹底的に繰り返すことによって、将来知らない人に会っても関係構築できるという自信が少しながらついてきた。何度も失敗し、へこみ、体で覚えたものは、将来きっと役に立つと信じる。テクニックとしては学んだことは細かく言い出すといろいろあるのだけれど、でも究極のところは好かれたかったら好きになれ、ということなのかな。もしも何人かの友人が私のことを好いていてくれたのなら、それは私が彼らに興味を持ち、好意を示し続けたからだと思います。なんか恋愛みたいだけど、そういうことだと思う。

あとはこの2年間における自分の中の変化としては、ちょっとのことでは驚かなくなった。半年かけて作り上げたイベントの開始数日前にいきなり震災が来て実行是非を判断することになっても、異国到着3時間で貴重品すべて盗難に遭っても、インド人の英語がわからなすぎても、まあ次起きたら想定の範囲内、と言える。焦って自分を見失わなければ、打ち手も見えてくる。

で、最後に一つ、グローバルで(少なくともアメリカで)生活する耐性がついた。これは自分ではあまり気づかなかったのだけど、2年経ってみると一日ずっと英語環境でもいつの間にか疲れなくなっている。日本食も特になくても大丈夫。なにかにつけて交渉しなきゃならないのも、あきらめも含めてだけど慣れてきた。これは、MBAというよりはアメリカ生活の成果なのかもしれないけど、例えば駐在でこちらに来ていたら、ここまで英語漬けになることもなかったかもしれないし、一人でいろいろ調べたりやらなきゃいけなかったり、というような環境が、結果的に自分を強くしたような気がする。

MIT全体の卒業式でDeanが、これから世界に散らばるみなさん、と呼びかけていました。なんというか、それがこの学校というか、アメリカの現時点での強さだと感じました。日本の大学の卒業式ではなかなかそんな言葉は出てこない気がします。幸運にもそこで2年間を過ごし努力した人間として、得たものを活かし、ぜひ世界で働き、世界レベルの幸せな人生を築いていかねばならないと思わされました。

June 8, 2012

Good-bye Sloan

6/8、卒業しました。まずは健康に、成し遂げたことに胸を張って卒業の日を迎えられたことをうれしく思います。

コアセメスターの終わりに、Econの教授が、"You will miss this environment"と言ってました。今それが現実に訪れました。毎日があまりに当たり前すぎて時に退屈に感じてしまうこともあったけど、いざ終わりを迎え、すべてがあり得ないくらいに貴重な日々だったと感じます。

あっという間の2年間、この2年間はたぶん人生で一番意識的にわがままにアホに生きたし、他人と接点を持ちました。周りには迷惑もたくさんかけたけれど、いつでも100%の信頼で頼れる仲間がいる、それが外で戦う時に力をくれました。迷ったり落ち込んだりする際に、ふっと支え、はげまし、インスパイアしてくれる最高の同士でした。どうもありがとう。

そんな仲間とC-Function、Japan Trek、Stand with Japanなど、本当にコミュニティにインパクトを与える活動ができたことをうれしく思います。Convocationのスピーチで言及された時はうれしかった。間違いなく学校を代表する活動をした、それは誇りに思っていいことだ。

ハーバードのリーダーシップの授業の最後に、教授がGood-byeの語源について話しました。"God be with you"ということらしいです。神のご加護があらんことを。こんなところにもアメリカという国は別の国だなと感じるわけだけど、宗教は別としていい言葉だなと思いました。別に今生のお別れではないけれど、Sloanでの2年間を終えこれから世界中で次の舞台へ飛び立つ、その同級生みんなに、そのまま同じ言葉を贈ります。God be with you, may the Force be with you.