2010-2012年、MIT Sloan MBAプログラムに留学していました。アカデミックな話題から、ボストン生活、趣味まで、日々感じることを書いています。

December 29, 2011

意思決定の際の胆力 (Essay 3)

特にEssay 3については悩まれる方が多いようで、今日はそれについて私の考えを書きます。

Essay 3: Please describe a time when you had to make a decision without having all the information you needed.

これは基本的には、差し迫った状況があって、やるかやらないか、あるいはどちらに行くか十分な情報がないけれど、それでも決めなければならない、という胆力に関する質問と思います。

この胆力というのはリーダーシップの重要な要素のひとつで、いかに早く決断し、それを周りに信じさせ、成功させられるか、その素質を持っているかどうかをアドミッションは知りたがっています。決断力のないリーダーはだめです。決断力のない男もだめです(苦笑)。

例えば書き方の例としては、次のようなものが考えられます。2つの道がある。ひとつは比較的固い道で、周りから信頼も得ているし、一定程度の成功も保証されている。もう一方の道は、魅力はあるが極めてリスクが高く、まったく成功しない可能性もある。本当はその成功確度をもう少し情報を集めて見極めてから決断したいが、決定期限を3日後に控えており、それまでに十分な情報は集められない。なので限定的な情報で決断した、という具合です。

スピードを重視する今日のビジネスにおいては、時間的制約により十分な情報を得ることができないケースは頻繁にあるし、あるいはそもそもどうやっても手に入らない情報もあります。企業活動においては、そうした不完全な情報環境の中で意思決定をしなければならない局面が多くあります。

そして個人レベルで考えてみた際には、誰にでも、これまである種の決断の際に、情報が不足したまま自分でエイヤ、と決めなければいけなかった点がたくさんあると想像します。そのうちのひとつにフォーカスし、いかに自分の中で悩み、確度を高めるために行動し、最後に腹を据えて決断したか、そのプロセスについて細かく描写するといいと思います。

そうした意思決定の場においては、自分の判断の拠り所となる軸があるはずです。GoogleであったらDo no evilとか、そういうことです。そうした自分なりの芯について、エッセイでは丁寧に書いてください。それはどうしても成し遂げたいアスピレーションであったり、大切な人に対する信頼であったり、社会・市場が向かうべき方向性への確信であったり、絶対に譲れない倫理であったり、人によってあるいは状況によっても異なるだろうとは思うのですが、結局のところ「何を大切にしているか」、思考のプロセスと意思決定の拠り所を自分の中で明らかにすることはとても大切なことです。そしてそれこそが、将来の意思決定の確度を高めるだろうと、アドミッションに確信させることにもつながります。

意思決定においては、もちろんそうした自分の判断の拠り所となる軸だけでなく、その裏側で働き成功の確度を高める理性知性がうまく機能している必要があります。たいていの場合、いきなり腹を括るのではなく、まずは手間を惜しまず創意工夫により情報を集めるための努力をする、手に入らないものでも論理を用いて推測をする。その上で直感や腹落ち感、自分の中での納得感というものにより意思決定する、というのが本当のところだと思います。したがって、エッセイでは、①足りない情報を集めるための努力と、②それでも足りないものをジャンプさせるための情報解釈力・想像力、③そして最後に腹をくくるための胆力、この3つがエッセイの中に書かれているように心がけてください。

December 28, 2011

人を巻き込む力 (Essay 2)

続いてエッセイ2について。

Essay 2: Please describe a time when you convinced an individual or group to accept one of your ideas.

どんなに高尚なビジョンを掲げても、実際に人が付いてこなかったら意味がありません。あなたはどうやって組織をひとつの方向にAlignさせ、成果を上げることができますか、という問いについて、Implementationの中でもHuman Interactionにフォーカスして書きます。

これは恐らく3つのエッセイの中では比較的書きやすいと思います。というのは、人との衝突に対して「何を感じ、考え、行動したか」というのはストレートに表現しやすいためです。

文字にしていくに当たっては、あなたがConvinceした個人あるいはグループを、できるだけビビッドに描写するよう心がけてください。どんな利益を代表している人(たち)なのか、争点はなんだったか、だけでなく、個人レベルではどんな性格か、本音と建前に何か違いがあったか、その人(たち)とのやりとりで、どの地点がブレークスルーのポイントだったか。

一方で、自分自身について正直に描写することも大切です。何を最初考えていたか、反対にあってどう感じたか、どう咀嚼し行動したか、そしてコミュニケーションの過程で相手側から学んだことにはどんなことがあったか。Convinceしたという事実は、必ずしも100%自分の考えを納得させたということが最大の成果ではありません。複数のEntityがお互いに触れ合う中で、どんなポジティブな化学反応が起きたか、それによってどんな力が組織内に生まれたか、について素直に書いてください。Human Interactionは、お互いに学習し高め合うプロセスであるはずです。

December 27, 2011

説得力のある未来を描く力 (Essay 1)

本日はまずエッセイ1について。

Essay 1: Please describe a time when you went beyond what was defined, expected, established, or popular.

自分の経験の中で、周囲の想定を上回ったものについて書くということで、これはどちらかというとAchievementについて書くように見えます。もちろんその成果がポジティブであることは重要なのですが、そのインパクトの大きさだけで例を選ばないよう、またエッセイを展開しないよう気をつけてください。というのは、ほかのエッセイでも共通ですが、ここで問われているのは、あくまで「何を感じ、考え、どう行動したか」ということであるためです。

なぜ周囲の想定を上回ることができたのか、どうやってNormを超えたか、それはどのようにVisionを作り行動したか、ということによって書くことができます。現状からVisionを描く際に、いかに直感を信じ、規範に捉われず「そもそも~」とゼロベースに立ち返って自分の頭で考え、目指すべき未来を描くことができたか、そのプロセスについて丹念に振り返り書いて下さい。

人によっては、これを書いていく過程でEssay 2と同じような内容のことを書いてしまう場合があるかもしれません。たしかに最後にResult、この場合はVisionに基づき行動した結果まで書くためどうしても重複してしまいがちですが、そこは注意です。以前も書きましたが、大きく分けるとEssay 1はVisioningについて、Essay 2はImplementationについて問うています。したがって、これをやるぞ、というVisionの形成段階に成功の肝があった事例をEssay 1に、目指すべき方向は見えていたけれど実行段階で強烈に反発を受け、その克服に肝があった事例をEssay 2に書くとよいと思います。Essay 2では、必ずしも自分でVisionを作っている必要はなく組織目標をブレイクダウンし実行したと言ってもよいのですが、Essay 1では、自分がNormを超えたVisionを作り出している必要があるというのがもっとも大きく異なる点です。

December 26, 2011

MIT Sloanのエッセイ

Sloanのエッセイについて、質問をよく頂くのでそれについて。

MIT Sloanは例年3つのエッセイを課しています(Cover Letterを除く)。多少設問の書き方は変わったりするものの、大枠は変わりません。2011年アドミッションにおいては、以下の3つが出されています。
  • Essay 1: Please describe a time when you went beyond what was defined, expected, established, or popular. (500 words or fewer, limited to one page)
  • Essay 2: Please describe a time when you convinced an individual or group to accept one of your ideas. (500 words or fewer, limited to one page)
  • Essay 3: Please describe a time when you had to make a decision without having all the information you needed. (500 words or fewer, limited to one page)
  • In each of the essays please describe in detail what you thought, felt, said, and did.

このインストラクションにあるとおり、各エッセイで何を感じ、考え、どう行動したか、を具体的に書くよう求めてくることが特徴です。意思決定の拠り所となるような価値と、実際に行動を起こした経験から学んだこと、それを深いレベルで振り返り、うまく伝えられるとよいと思います。

これは全てリーダーシップの要素について問われていると考えてください。一言で言うとEssay 1は進むべき方向を描く力(Visioning)、Essay 2は周りをInvolveする力(Implementation)、そしてEssay 3はDecision Makeする力(Value)です。また、各エッセイでは、それぞれ違った能力を持っていると書いていくことが大切です。「何を感じ、考え、行動したか」について書いていくと、ともすると全てがImplementationに寄った記述になってしまうことがあります。そうした際には、そもそもどんな力について問われているのだっけ、と確認することで、Capabilityの重複感を避けることができると思います。

また、各エッセイはSTAR(Situation、Task、Action、Result)の様式に沿って書くことが求められています。この様式で書くことは、自分の過去の経験を振り返り、定着させることにつながるので、とても有意義な動作となるはずです。したがってその際に、この経験からのTake away(学び)は何か、まで抽出し、STARTとして書くようにしてください。最後に学びを普遍化することは自分にとっての経験の価値を格段に増します。またこれを体験したことによって、次に同様のことが起きた際にも成功の再現性がある、と読み手に確信させるため、アプリケーション上も有効です。

それぞれの設問にどう答えていくか、もちろん正解はありませんが、以降のポストで考え方のガイドラインを書いてみようと思います。

December 19, 2011

静かなボストン

試験が終わり、ぼちぼちクラスメイトがボストンを離れていきます。急に街が静かになったので、クリスマス休暇を前に、家でふと1年を振り返ってます。

1月にシリコンバレートレックに行ったのがもはや同じ年とは思えないほどいろいろやった1年間でした。思い返してもアメリカ人と二人きりのドライブはつらかった。しかしサンフランシスコの中華はうまかった。その後はまったくの無防備でヨセミテに行き、ナパとソノマで快飲し、送ったワインが家に届かないというおまけ付。

3月にはJapan Trekの予定だったのが、まさかの大地震でキャンセル。それは本当に残念でしたが、Stand with Japanでは志のある仲間と一緒によい仕事ができたことを心から誇りに思います。どうもありがとう。

春は少し足踏みした時期もありますが、6月からのインターンでは環境を大きく変え、よいストレッチの機会をえました。また貴重な出会いや再会も多くあり、充実した時間でした。

9月に学校に戻りネジを締め直す。Sloanのほかハーバードのケネディスクールでも授業を取り、世の中へのインパクトの与え方について考える引き出しを増やせた。イベント関連ではC-functionも成功できたし、Japan Mixerという持ち込み企画で日本の味をふるまえたのもよかったです。自分自身もまさかの変化があったしな、1年って不思議な感じ。とにもかくにも、みんなに本当に感謝です。

1月はG-labのプロジェクトでインドネシアへ。そして2月から、また最後のお祭りが始まります。

ということで、Merry Christmas & Happy New Year。

December 18, 2011

出願戦略について

セカンドラウンドのデッドラインが近づき、今年受験の方は時間との戦いの日々だと思います。今日は出願戦略について、個人的な見解を書きます。

まず、これはよく言われることですが、あまり多くの学校に出すのは効果的ではありません。下手な鉄砲数撃ちゃ、というのはMBA受験においては当てはまりません。気持ちが分散すると作業効率が落ちますし、実は単純に事務的に各校の出願書類をWebで打ち込んでいくだけでも(アップデート、エラーチェックを含め)相当な時間を要します。それよりも、ラウンドあたり最大4校くらいを目安に、とにかくエッセイをしっかり書き込んでいくほうがよほど合格可能性は高まると思います。ここでいうエッセイの書き込みとは、ネタがしっかり揃った後の学校向けカスタマイズを含みます。本当に強いエッセイを書き上げるためには、Why this school?だけでなく出願全体のパッケージを各校ごとに作っていくくらいの気持ちで臨む必要があります。

中身について。出願校確定、各校カスタマイズの前に、まず、自分を一言で言うと?のラベリングは受験において必須と思います。アドミッションは「○○の××さん」というふうに記憶していると言われます。クリアなキャリアゴールとWhy MBA?だけでなく、過去の体験から生まれたValueをもっと研ぎ澄まして、それが学校で自分自身Performし、学年全体の雰囲気を盛り上げることをアドミッションに確信させられるように書き上げてください。キャリア上のエクセレンスは誰もが仕上げてくる中、アドミッションが究極的に欲しいのは顔が見えるパーソナリティです。

そしてValueが整理できてきたところで、学校について。いわゆるドリームスクールのようなものは受験の初期から誰でもあると思うのですが、併願校も含め全体として最終的にどういう学校に出願していくかは悩む方もいると思います。個人的には、大きく3つのグルーピングの方向性があると考えていました。
  • Finance系でさらっとしている
  • GM系でチーム重視
  • 専門的な強みを持つ(ヘルスケア・パブリックマネジメントなど)

プログラムやカルチャーに沿って書くと、そのグループ内のほうが量産しやすい(あまり変えずにFitを伝えやすい)というのは真実です。これはまったくの私見ですが、大きくFinance系/GM系とDry/Wetなカルチャーには相関があります(もちろん例外はありますが)。リジッドに数字で投資判断を求められるファイナンス系は必然的に合理的・ドライになりますし、数字だけでない人心掌握を求められるGM系はやはりエモーショナル・ウェットになります。これは、将来自分がCFOを経由してCEOになるのか、それともCOOを経由してCEOを目指すのか、という大きな道筋と整合します。そして、アドミッションは、こいつはどちらのパスに乗っているか、そうしたクラスメイトとフィットするか、と直感的に判断します。誤解を恐れずに書くと、B-schoolを女性との交際・結婚と例えた時に、お金が好きな女性を選ぶか、それとも信頼を求める女性を選ぶか、同時にそうした女性から選ばれるかということだと思います。エッセイをどれだけ取り繕っても、これまでの人生で積み上げた強固なものを変えることはできません。自分の経験に照らしても、どれだけがんばっても一生好きになってもらえないタイプの女性(=学校)は確かに存在します。そうしたことも踏まえ、出願校を確定されるとよいと思います。

更に、例えば自分が次のようなことを訊かれたらどう答えるか考えてみることも、出願校の確定に役立つかもしれません。以下は私の例です。もちろん人によって状況は異なるかと思いますが、そもそも、とか、究極の選択、とかそういうレベルの問いを投げることによって見えてくるものがあるはずです。
  • ヨーロッパおよびアジアでのビジネスを拡大する際に、米国のB-schoolを志望する理由は?INSEADのフォンテンブロー・シンガポールのほうがよいのでは?
  • チームワーク、狭く濃い人間関係、どれくらい好き?ずっと人といると疲れない?
  • 卒業後ソリッドに使えるプラクティカルな知識・意思決定経験と、ヒエラルキーなしのチームでひたすらコミュニケーションを繰り返す経験とで、2年間で究極的にはどちらを得たい?(100対0ということはあり得ないので、51対49でよいが、どちらか)
  • 今のキャリアでシニアプログラムでなく、レギュラーMBAな理由は?
  • 何でもやりたいとは思うけど、2年間は案外短いので、専攻をひとつ決めなけばならないとすると、何?
このあたりを自分の頭の中でとことんまで整理して、(明示的にではないにせよ)エッセイにほのめかすくらいまでできると、かなり光ると思います。インタビューではこれくらいの想定問答準備は必須です(以上は結果的に、ほぼ私がインタビューで尋ねられたことです)。

これが皆さんの出願戦略検討の一助になれば幸いです。どうかがんばってください。

October 27, 2011

AmbitionとAspiration

AmbitionとAspirationについて。

今期足を伸ばして取っているハーバードのリーダーシップの授業での今度の課題が、自分のAmbitionとAspirationについてそれぞれReflectして書くというもの。で、そもそもAmbitionとAspirationの違いは何かということの説明を受ける。

Ambitionとは、「What you want to get」で、つまり何かを世界から得たいと思うこと。具合的には、お金であったり、名誉であったり、パワー、マイホーム、幸せなアーリーリタイア、家族との時間など、その対象は何でもよい。

一方のAspirationとは、inspireやexpireなどの語幹となっているspireが含まれることからも推察されるように、「What you want to give」で、つまり世界に何かを与えたいと思うこと。世界平和だったり、便利な生活だったり、グローバルヘルスケアだったり、サステイナブルな世界だったり、これもどんなものにもなりうる。

何がしたいのか、何を成し遂げたいのか、どうなっていたいのか、いろいろと留学期間中に考えているが、改めてここで整理する機会を得たので、それに乗っかって考えてみることにしよう。

October 23, 2011

Sloanについてよく聞かれること

そろそろファーストの出願が進み、セカンドもエッセイ本番でいよいよというところだと思います。MIT Sloanに関心を寄せていただいている皆様に、よく質問されることをいくつかまとめてみます。

特にアントレプレナーシップ、アクションラーニングについては受験生の方々の関心が高いようです。実際にこちらに来てみて、Sloanは-Labと呼ばれるアクションラーニングが大変に充実していると感じます。Labの授業は好きなだけ取れます。といってもワークロードが重いので、1学期に1つが適量、最高で2つだと思いますが。そうした実践系の授業に加え、それ以外のほぼどんな授業でもExerciseのアサインメントがあり、実際に手を動かす経験をするのは特徴的だと思います。

一連のアクションラーニングの中でも看板授業であるG-labは2年生オンリーの授業で、学年の約3分の1の学生が選択します。私もちょうど現在受講中です。アメリカ人、イギリス人、チリ人と私の4人でチームを組んで、インドネシアのIT企業(オンラインペイメント)にコンサルテーションをします。文化、政治、経済の成熟具合を踏まえた事業開発ということで、秋学期はDeveloping countryにおけるビジネスの授業・ケースを扱いながら、チームとして国に関するリサーチやクライアント企業の現状把握をしています。その後、1月に3週間現地に行ってコンサルティングを実施します。給与はもらいませんが、飛行機代、宿泊費は全て企業持ちということで、本気度の高いプロジェクトです。G-labの学びは、仕事ではなかなか立ち入らない社会制度や政治の話が含まれること、そして途上国におけるアントレプレナーシップの役割・倫理をアカデミックに体系化した上で、実際のプロジェクトでインパクトを与えるという総合的な体験であることです。チームごとにメンターがつき、ストラテジー、マーケティング、ファンディングなどのプロジェクトタイプに合わせて専門家の話を聞けるなど、リソースも豊富です。

そのほか、アントレプレナーシップ関連では、E-labという授業でボストンのインターネットサービスプロバイダーの顧客開拓を支援しました。この授業のよい点は、教授陣はもちろんのこと、MITにはEntrepreneurship Centerという組織があり、そこのResident(つまり起業家やリサーチャー)にプロジェクトの相談をし、フィードバックをもらいながら進めることです。またチーム間での進捗共有による助け合いも行われます。この技術であれば誰に聞け、とか、プライシングのプロジェクトならこんなツールを使ったのでシェアする、とかいった具合です。クライアント企業の知らないことを、カスタマーの声を聞くことであぶり出し、そこから価値のある提言をする、というプロジェクトの進め方について、教授から徹底的に指導・サポートを受けることで、顧客を次のステップへ動かす方法を体を使って学びます。ボストン市内の企業へのアポなしインタビュー、電話インタビューなど、なかなか普段体験することのない活動を通じて、生の情報を集めていったのは、私自身大きな学びでした。

一歩引いた視点からのInnovationという意味では、Distuptive Technologyという授業があり、Innovation研究大家のJames Utterback教授が、新しい技術がどう社会にイノベーションをもたらすか、その要因は何かを体系化していきます。同授業ではチームプロジェクトも含まれ、現代の新技術がどうイノベーションをもたらすか、その可能性を検証し、レポートにまとめます。技術だけでなく、どのようにビジネス全体をデザインするか、既存プレイヤーが技術改善を図り対抗してくることに、どのように対処するかといった競争環境・時間軸を含めた視点を持つことで、イノベーションの理解に深みを持たせることができます。

あとはNew Enterprisesという授業では、3人のチームで、4ヶ月かけてビジネスプランを書き上げ、ベンチャーキャピタリストにプレゼンするという経験をしました。その他には例えばEntrepreneurial Financeという授業もあり、こちらはファイナンスサイドからアントレプレナーシップを見る、つまりスタートアップ企業の企業価値をどう評価し、投資していくかということを学びます。こうした環境で、アントレプレナーシップ全体がどう成り立っているかを掴むことができ、その中で自分がどんなロールを担うかを考えることができます。

校風についてもご質問をいただくことが多いです。Sloanはお互いを尊敬する、非常に協調的でMatureな校風と感じます。友人の一人は、それをわびさびがわかると評しています。その学校の協調的な雰囲気は、もちろんもともと協調的な性格を持つ学生を取ることが背景にあると考えられますが、そうした学生を合格させるということのほかに、チームで課題をやらされるというしくみに基づくものも大きいと思います。基本的に全ての授業はチームを組みます。コアセメスターは7名程度のチームがアサインされ、その後は授業ごとに3~4名のチームを自分たちで組んで、チーム課題をやります。評価はチームで提出するレポートに対してつけられるので、必然的にチームワークをするようになります。もちろんライティングなどIndividualの課題もありますが、それでもかなりの割合がチームもので、毎週複数回ミーティングをすることになります。毎回のチーム組成の仕方、各人の長所を活かした貢献の仕方、それぞれの都合で時間が取れない時の助け合い方など、このチーム作業から学ぶことは大きいです。

クラスへの貢献の方法についても、よく質問をいただきます。もちろんExceptionalな経験があればそれをシェアすることは評価されますが、そこまで気負わずとも、授業中に意見をビルドオンしていくこと自体が大切です。クラスは一方通行ではなく、皆で作り上げていくもので、毎回の予習と発言はきちんと評価されます。そのほかの貢献の形としては、コミュニティを盛り上げる、というのがあると思います。我々日本人学生は、震災後にファンドレイジングの手段としてStand with Japanという活動を立ち上げ、Tシャツを販売し、チャリティパーティを企画しました。その活動を皆がサポートしてくれることで、副次効果として学校のコミュニティが強まったと感じます。周りに何かを働きかけていく活動はここではとても評価されます。

Sloanについて、今回は私が質問を受ける点を中心に書いてみましたが、更に全体像をお知りになりたい場合には、各種情報が以下のサイトにありますのでぜひご覧ください。
http://web.mit.edu/sloanjapan/101/index.html

October 14, 2011

国を背負い、時代を背負う人との遭遇

数えてみるといつの間にやら24ヶ月中18ヶ月が過ぎ、折り返し地点どころか3分の2が終了しました。月日がたつのは本当に早い。さぼりつつ、たまには集中したりして、2年生の今年もなんとか日々を過ごせてます。

今期はハーバードケネディスクールでリーダーシップの授業を取っているのだけど、それがなかなかに面白い。リーダーシップが教室で教えられるものかどうかという議論はさておき、クラスメイト(の一部)がすごすぎる。毎週誰かがリーダーシップの失敗体験を話すのだけれど、こないだはエチオピアの元防衛大臣というのが出てきて、国家の民主化の機運を前に進めることに失敗した、という話をする。いろんな思惑を持ったグループがいて、それがうまく力を合わせられなかった、結果として国民が民主化を望んでいたにもかかわらず、2000年代に入って国家は独裁の方向に逆戻りしてしまった。自分も思想弾圧で3年ほど刑務所に入れられた。そのことを振り返り、彼はどう動けたのか、についてクラスで議論をする。

分析のフレームワークとか、リーダーシップの理論とか、授業的にはいろいろあるんだけど、自分の中ではそんなものを圧倒するくらいに話の迫力がすごかった。すでに50代の彼が、卒業後国に帰って、国家のギアをもう一度入れるために、今アメリカで学んでいる、そのために貴重なお金と時間を使っている、という事実に身が締まる思いがした。彼にとっては、学ぶ理由、背負ってるものが時代なのだ。ちょっと自分のビジネススキルをつけるために、海外の経営大学院で学んでいます、というのとは訳が違う。でも、まったく同じお金を払って、同じ空間にいる。

そこから考えたのは、だから自分も一秒一秒を大切にしなければならないということ。別に彼と同じレベルで国を背負い、次代を背負おうと思う必要はないが、自分なりに目的感を持って、貪欲に生活する。しっかり勉強し、授業でも発言し、夜はクラスメイトと遊び、考え事もする。わざわざここまでやって来て、だらだらと無為に過ごす時間はない。

いやはや、残り8ヶ月なんてあっという間だ。そうこうしているうち、気持ち的には、すでに終了のゴングが聞こえる。卒業する最後の日に、後悔が残らないように、せめて今日いまできることを逃げずにやろうと思う。とはいえなかなか人間変わらないし、体は思ったように動いてくれないなと痛感しつつ。課題など、やらなきゃいけないことは(卒業しなきゃいけないから)もちろんやるけれど、自分のためにやったほうがよいことと来ると、すぐにさぼる。本当に人間は怠惰な生き物、水は低いほうに流れる。が、そこをぐっと食いしばってちょっとでもやるのだ、何事もやらないよりはましなのだ。そんなことを思った週末の夜でした。

September 30, 2011

I feel connected

昨日Japan C-functionという学校の学芸会を行い、イベントのオーガナイザーとして、800人のクラスメイトに震災以降のサポートに対する感謝のスピーチをしました。彼らは本当に気遣いをくれ、助けてくれてありがたく感じています。

その後クラスメイトのアフターパーティに参加したところ、「By your words, I feel connected to this community now」と言われました。これは本当にうれしかったし、胸の奥がうずいた言葉でした。我々のメッセージはしっかりと届いている、積み上げてきたものは正しかったと確信しました。

今回の学芸会に限らず、実際に手を動かすのは何にせよパワーを使うことで、しかしそれによって初めて人の生活に小さな波を起こせる。踊る阿呆に見る阿呆、周りにポジティブな影響を与えるのはいつでも踊る阿呆。阿呆は死んでも直らないので、これからもせめてしっかり踊らなければ、周りに申し訳が立たないと思った次第です。

July 21, 2011

アドミッションによる学校説明会のご案内

MIT SloanのAdmission Officeによるオフィシャル・イベント(MIT Sloan on the Road)が東京で行われます。Sloanについてよく知る絶好の機会だと思いますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。

日程:2011年10月6日(木)
時間:18:00-20:00
場所:丸ビル Conference Square, Room 2-4-1
事前エントリーは以下から。同リンク先の「MIT Sloan on the Road -- Tokyo」欄をクリックして申込を行ってください。
http://mitsloan.mit.edu/mba/admissions/attend-event.php

July 20, 2011

Back in Boston

二つ目のインターンは、ボストンに戻って従業員1万人を超す巨大なIT企業へ。組織は北米各地の他、ヨーロッパ、中東、インド、オーストラリアとまさにグローバル企業。マネジメントはTV会議のセットを自ブースに持ち、日常的にそれを使ってコミュニケーションしています。加えて、フィジカルにも彼らは世界を飛び回っている。こうしたワークスタイルを見ると、ITの世界では、もう時間距離はなくなっているのだと感じます。The World Is Flat。

内容は、Global Delivery部門の成長戦略策定ということで、特に新規売上を伸ばすため、サードパーティベンダーとの連携推進の可能性を検討することになりました。これまでの知識経験が活きるよい役割を与えられたと思うので、しっかり取り組みたいと思います。

しかしこうした環境において、トップマネジメントと直接やり取りができるのはうれしい話ですが、彼らと一緒に仕事をするのはとにかく時間が取りにくくて大変だと感じます。タスクは一瞬電話で話を受けたのみで、次のミーティングは来週水曜日、それまでに十分なインプットができるよう、今はそこから順に社内関係者にコンタクトしながら進めているところです。はじめまして・・・、こんな仕事やることになったんだけど・・・、こういう情報を手に入れたい・・・、の繰り返しで徐々に進み、ようやくスタート地点に立ってきた気がします。遠隔コミュニケーションが日常的に起こる中での業務推進というのはこれからのグローバルビジネス全般の要求事項と感じているので、ぜひ今回は、そうした環境の中でクオリティの高い仕事ができるよう自分を磨きたいと思います。

July 19, 2011

仕事より大切なもの

仕事よりも大切なもの。

アメリカに来て少なくともひとつだけ学んだことは、彼らはわがままなほど家族を大切にするということ。スタンリーカップというアイスホッケーのチャンピオンリーグで地元Bruinsは優勝しましたが、その時にMVPを取ったTim Thomasというゴーリーは、「スタンリーカップは大事だけど、でもそれより家族のほうが大切だからね。彼らがいるおかげで、プレーできる」と言ってました。これは心に残った。

仕事は比較的短期で明確な成果が見えやすい。そして、人からも評価されやすい種類の活動だ。だから、それにやりがいを感じて、ついついそれに没頭してしまうことはある。一方で、自分の生活、特に家族友人との関係は、長期で、しかも形が見えにくい。そもそも成果を上げるような種類のものですらない。でも、それは人生の基盤だ。リーダーシップの授業で、大切なものと問われたときに、家族と答えるアメリカ人は多い。以前にアメリカ人の友人が言っていた。人生の目標は2つある。ひとつはお金を稼ぐことで、もうひとつは幸せな家庭を築くことだ、という言葉は、そのアメリカ的な価値観を表しているのかもしれない。そうした発言がアメリカ人にとっての社会規範なのか、それとも本当に信ずる価値なのかはわかりづらいところもあるが、少なくとも日本に比べて家族を大切にしている、と正面切って言う文化があると感じている。

何のために働くのか、何のために学びに来たのか、やはりどう生きれば幸せなのか、というところに行き着く。家族友人、自分にとってはかけがえのない (irreplaceable) ものだし、それがあってこその仕事勉強なのだということは忘れてはならないな。

July 17, 2011

組織を国際化するためのチャレンジ

こちらでの勉強から、企業の競争力を高めるための人事採用に関心を持ち、特に日系企業の採用の実態について知りたいと考え、NYでのインターン中にMBAの仲間にお願いして、10社以上の企業に話を伺ってきた。そこからの学びをまとめてみる。

今回は日系企業の米国オフィスにインタビューしたため、日本企業が国際化していく中での組織的なチャレンジについて伺える機会が多かった。出向者と現地採用者がどのような比率でいるにせよ、まず言語は課題である。組織内にバイリンガルをどの程度求めるかにより、採用時点から制約がかかる。また、組織内の意思決定制度により、主に東京本社との遠隔コミュニケーションとの頻度が変わる。これがビジネスのスピードに影響する。

訪問したある商社では、事業モデルが従来のトレードから投資へと変化してきたという話を伺った。そしてその変化のスピード感は、従来型の繊維・化学部門や比較的最近の電力・インフラなど、事業部門によって異なるとのこと。それに対応するために、グローバルベースでの人事データベースを整備し人的資源の配分をよりダイナミックにすると共に、事業部門を越えた人事異動により、OJTの効果も狙うと言う。どこにどんな能力を持った人がどれだけいるか、これを見える化することが企業の競争力に直結する時代になった。

最後は、ダイバースな組織でコミュニケーションを活性化するためのしくみづくりについて。ある金融機関では、Charity Fridayと称したカジュアルフライデーを実施しているとのこと。これは、とりわけフォーマルな装いが多いウォール街のオフィスにおいて、数ドル払うことでカジュアルな装いが許可されるというもの。ここで集められたお金は、チャリティに回される。チャリティは外部への募金だけでなく、社員に渡されることもある。というのは、社員誰でもチャリティアイディアを応募することができる。たとえば、台所の水周りの調子が悪いので修理をしたいとか、子供の受験が終わったので家族で旅行に行きたいとか、なんでもよいそうだ。これが社員同士が仕事外のパーソナリティ・趣味嗜好を知ることにつながり、コミュニケーションが活性化したという。米国では、ビジネスパーソンが特に家族を大切にし、ワークライフバランスについて真剣であると感じる。日系企業が海外進出するに当たり、そうしたワークスタイルを理解し、しかけを整備することは実は重要だと感じた。

あらゆる企業にとって、ヒトは競争力の源泉である。そして組織制度設計が、採用活動ひいては企業の競争力そのものにもにも効いてくる、という影響力の大きさを改めて感じた。

July 11, 2011

インターン先CEOとの食事

ひとつ目のインターンが終了した。最終報告後、CEOとは一緒に食事をしながら、会社設立からこれまでの経緯について伺うことができた。

印象に残っているのは、「アイディアよりも先のチーム作り」「キャッシュの重要性」「スケールアップの仕方」「立ち上げと管理の違い」である。このアイディアを事業化しよう、という方法もあるが、この人と何か一緒にしよう、と思えるようなネットワーキングをしておくことが、その後に来るたくさんの困難に共に打ち勝っていくためには非常に重要である。最初のチームは2~3人がベスト。そして、当然のことだが、事業立ち上げからしばらくはキャッシュフローがマイナスになるので、それに耐えうる資金を準備しておくことも組織の雰囲気を健康に保つためには大切。更に顧客開拓の実務。初期的に知り合いのいる企業への導入を終えた後、彼らはオンラインの求人リストを見て、自社のソリューションがマッチしそうな会社に片っ端から電話をかけていったそうである。この具体的な行動こそが、年商1億円を超える企業を作り上げた原動力なのだと学んだ。最後は、立ち上げフェーズから管理フェーズへの移行の話。CEOは、自分は何かを始めることは得意だが、組織管理には向いていない、だからプロの経営者にCOOを依頼することとした、と言っていた。どんな人も万能ではない、長所短所を知り、それをうまく人とミックスさせることで、組織としてのリーダーシップを増していくことができるという言葉には重みがあった。

また、成功した事業家とともに働く中で、彼の立ち居振る舞いから学ぶことも多かった。仕事と家族を両立したワークスタイル、自信を持った話し方、インターンである私を含めた社員への配慮・動機付けの仕方、一ビジネスパーソンとしてよいモデルを見ることができた。

July 10, 2011

学校説明会のご案内

MIT Sloan School of Managementの在校生・卒業生による学校説明会を開催致します。参加お申込はMIT Sloan 101から(先着100名様限り:当日は確認メールのプリントアウトをご持参下さい)。
日程:8月28日(日)
時間:14:00-16:00 (13:30より受付開始)
場所:六本木アカデミーヒルズ49 カンファレンスルーム1+2
内容(予定):
1. 基調講演-井澤吉幸氏(株式会社ゆうちょ銀行 取締役代表執行役社長、MIT Sloan Asian Executive Board Member)
2. 学校紹介プレゼンテーション
3. 在校生・卒業生パネルディスカッション
4. 在校生・卒業生への個別Q&Aセッション

* 本説明会は在校生・卒業生による自主的な企画イベントであり、アドミッションプロセスとは一切関係ありません
* 当日はカジュアルな服装でお越しください

July 9, 2011

つくられる限界

ひとつめのインターンをNYでやっているのですが、それが早くも終わろうとしています。そこでふと考えたこと、限界について。

よく言われる心理的壁。陸上競技を例に取ると、100m走でも1マイル走でも、なかなか破れない世界記録があって、それがひとたび更新されると続々と新記録が生まれる。また、日本人のメジャーリーグ挑戦も、野茂が道を拓いて以降、現在では多くの選手が活躍できるようになった。

それを自分にも当てはめてみる。すると、日々いかに多くのことから逃げていることか。Get out of comfort zoneであるべき2年間なのに、これはアメリカ人じゃないと難しい、とか、帰国子女ならできただろうに、とか、勝手に限界を設定していることが多いことに気づく。ビジネスアイディアのブレインストーミングをする「アイディアストーム」という集まりには興味があったものの、結局フルスピードのコミュニケーション能力に自信が持てず参加しなかった。今年のSloan合格者の歓迎パーティのアンバサダーや、新1年生の世話役となるパイロットというポジション、授業の手伝いをして給料が支払われるティーチングアシスタントもやりたいなと思ったが、やはりコミュニケーションへの懸念から見送った。米国でのインターンもそのひとつで、なかなか厳しいのではないか、と勝手に限界を作っていたところがある。実際に就職活動をして、もちろんそんなにかんたんなものじゃなかったし、冷や汗をかき散々な思いもたくさんしたけれど、それでも命を取られるわけではなかったし(当たり前だが)、最終的にはポジションも得た。

友人のアドバイスを思い出す。表面張力の話。常にグラスからこぼれそうなくらい水を張っていると、いつかグラスそのものが大きくなる。自分の経験からも、ガラス製の器が大きくなる、というのは言いえて妙で、よもや伸縮しないだろう、と思われるもののサイズが本当に変わる。そしてそれを成し遂げるためには、思いと忍耐がなければ続けられないので大変だけど。

先日MITの研究者と、ストレッチの方法について話をする機会があった。ストレッチには2種類のアプローチがある、と仮定して、どちらをより多く採ってきたかを振り返るというもの。

ひとつめは、少しだけ背伸び、を繰り返すやり方。無理やり自分を快適でない環境に置き、そこで慣れさせることでなんとか及第点を取ろうと努力する力で成長を図る。自分の中では、マラソントレーニング手法と名づけている。昔長距離走の選手に、マラソンの練習方法を尋ねたところ、毎回の練習で、常に「いや、これだとちょっときついな」というスピードで走れ、そうすると一番早道でスピードとスタミナがつく、とアドバイスを受けた。これは別に忍者が木を植えて成長に合わせて高飛びの高さを上げていく、でも何でもよいのだが、要は常に落ち着かない状況を作り出す、ということ。この1年では、とにかくバーに通い続けたことくらいしか背伸びはしてないなと反省しつつ、ちょっとだけ耐性はついた気もする。

もうひとつは、超身分不相応の環境に入り、赤点を取り圧倒的にできないことで落ち込みながら、それを挽回しようとする力で成長を図るやり方。これは自らの意思というよりは、どちらかというと、放り込まれることのほうが多いかもしれない。自分にとってはMBA受験の最初のインタビュートレーニングは、ほとんど丸腰で行ったのでこてんぱんだった記憶が鮮明に残っている。こちらでの授業でも、コミュニケーションのクラスでいきなり当てられてみんなの前で即興スピーチをやらされたり、プロジェクトで電話インタビューや突撃訪問をやる羽目になったり。まあ、相当できなくて強烈に落ち込んで。そもそも身の程を思い知らされることで、ある程度できると思い込んでいた自分の意識過剰が恥ずかしくなる。できないのが実力相応、落ち込むことすらおこがましい。せいぜい客観的に自分を見て努力しなさい、ということで必死でしがみつく。しかし不思議なもので、つい最近はあんなにつらかったアメリカ人へのインタビュー、(もちろんストレスフルだけど)いつのまにかできるようになっている。電話インタビューもかなり気が向かないけど、でも必要があればやるようになった。ちなみに先週はNYでインターン中の仲間でピクニックをして、Tabooゲームというのをやった。ある単語をいくつかのNGワードを避けて表現する、というもので、まったくできなかった。コミュニケーションの壁は高い。

ともあれ、ストレッチをかけるという意味では、MBAの2年間はとてもよいチャンスだと思う。所詮は学校、失敗したからといって失うものは何もないのだ。ビジネスのように、取り返しのつかない損失が発生するわけではないから、そして基本的には他の人に迷惑をかけるわけではないから、思い切ってどんどんやればいい。クラスの友人(アメリカ人)は、人前で話すのが緊張すると言い、緊張がどもりに出るのだが、それを直したいからとどんどん話す。ある日、ジャック・ウェルチが学校で講演した際にも、彼は数百人の聴衆の前で質問した。その質問はウェルチの心に引っかかり、後日ウェルチがテレビに出演した時に言及した。友人はそのことをとても喜んでいた。一つ一つの具体的な行動が、自信に繋がっていく。学ばされることが多い。

MBAも折り返し地点、今度は環境に頼るのではなく、自分でストレッチをかけていかなければならない。こちらでの生活も、地に足が着いてきた。やはりばたばたしているうちは、学びは多いながらもできることは限られる。ようやく物がよく見えるようになってきて、だからこそできることもある。慣れてからが本番。今度はどんな挑戦をしよう。あまり他の人がやっていないことがいい。とはいえあまり構えすぎず、とりあえずアイディアストームくらいは参加しようと思う。

July 1, 2011

Life is good and good in New York

1つ目のインターンがNYのスタートアップで始まっています。仕事はビジネスデベロップメント、要は自分のコネでアポを取り、話を聞きに行く。半分マーケットリサーチ、半分色気ありくらいのさじ加減。事業開発はリレーションシップビルディングであり、I-bankやコンサルではできない経験が得られるはずだ、とはSloan卒業生であるうちのCEOの言葉。ということで、拘束時間はさほどでもないのだけれど、変なプレッシャーがある。まあ外回りばっかだから、傍から見るとただNYを歩き回ってるだけ。ランチにはまり、人気店を回る。汗まみれのスーツなのでドレスコードは完璧。金曜夜から週末はインターン中の同級生と遊ぶ。NY出身のやつらはさすがに慣れてるので、それに乗っかりディープな場所を知る。という感じ。こうした毎日が、何かの役に立つことを願う。

June 17, 2011

何をやったか、何を学んだか

この1年で何を学んだろうか(そしてそれを人にどう伝えられるだろうか)、と自分に問いかけていたが、そのためには結局のところ何をやったか、を振り返るしかないと思い、そこから始めてみる。人はやったことからしか学べない。

1. プロジェクトものへの注力
自分の場合、個別知識の習得よりも、チームでの共同作業から多くの学びが得られると考え、プロジェクトものに多くの時間を割いた。

  • NPO法人のボーディングメンバーへの組織改革プロジェクト
  • タンザニアのインキュベーションセンター立ち上げプロジェクト
  • ボストンのインターネットサービスプロバイダの顧客獲得プロジェクト
  • 学生3名でのビジネスプラン作成

そこからの学びは、どんな商品/サービスであれ、「何でもできる、誰もがターゲット」ではうまくいかないということ。腹を括って、「この具体的な機能を持った商品を、どの顧客に売る」と決めることが大切。それが、やるぞという心意気を超え、一意のアクションにつながっていく。同級生で最も早い仲間は、既にVCから資金を調達して会社を立ち上げた。学校は休学する。彼はこう言っていた。秋学期に「やろう!」と決めた後も、なかなか準備は進まなかった。それで冬休みに入り、どうすべきか考えた。休みが明けて、VCが集まるカフェに行った。商品のプロトタイプを作った。これが一気にドライブを駆けた。VCの目の色も変わった。プロトタイプが、具体的な機能を規定させるきっかけになったのだ。スタートアップへのコンサルティングプロジェクトでも、その点を心がけた。具体的に動ける具体的な目標を作ること、これがアントレ実務には必須だということを学んだ。


2. ソーシャライズ機会への積極参加
自分を外に開いていくため、いわゆる飲み会には極力顔を出すよう心がけた。特に、毎週水曜日、Beacon Hill Pub(通称BHP)というところでのMBA生の集まりは、皆勤に近いペースで通った。そのために学校の勉強は多少なりとも薄くなってしまう部分はあったが、それでも外に出て人と話すことが、自分にとってはそれ以上に意味があると言い聞かせて続けた。

そこからの学びは、英語によるコミュニケーションの型のようなもの。どんなことを話題にして、どう話すか。とりわけ体で覚えたのは、アメリカ人の会話は、「テニスではなくバスケットボール」であるということ。日本人、もしくはアジア人同士の会話は1対1が基本で、ボールを交互にやり取りする。それに対し、アメリカ人の会話はペースは速いし、しかもどんどん横槍が入る。それを学ぶのに時間がかかった。とにかく自分の意見を持った人たちなのだ。また、仲良くなるには冗談が有効。例えば恥ずかしい話だが、私はバーでRollin' Rockというビールを注文したらRum & Cokeが出てきた。でもそれを周りに話していけば、そこから会話が盛り上がる。そして最後は、とにかくアメリカ人は「自信を持った振舞い」を重視するということ。彼らにはいろんなことを相談したが、とにかく言われるのは「自信を持て」ということだった。与えられた状況をポジティブに捉え、嘘にならない範囲で大言を吐く。自信が揺らぐことがあっても、それは決して外には出さない。むしろ本当の自信が持てるように裏で努力する(から進歩する)。英語でのコミュニケーションに自信を持ちたいと考えていたが、それはやはり言語だけではなく立ち居振る舞いも含めてのものである。それはもっとやらねばならない。


3. チャリティTシャツプロジェクトの立ち上げ
3/11に震災が起きて、翌日にTシャツプロジェクトを始めた。それは、震災直後に声を掛けてくれる同級生の「何かできることはないか?」という言葉に、自分なりに応えたいと思ったことが関係している。遠くアメリカにいる身として、日本のために何かしたい、しなければならないという気持ちはあった。そして、私のため、私の家族のため、日本のために何かしたいと思ってくれている友達がいる、それをどうつなげるかと考えていた時に、Tシャツのアイディアが閃いた。アイディア自体は別に突飛なものではない。むしろチャリティとしては王道だろう。しかし、それを翌日には立ち上げたこと、そしてボストンワイドの活動にまで広げられたことには自分なりに手応えを感じた。

その経験を通じて、スピード感を持って大きなことを成し遂げる際にどう物事をまとめ上げていくかを学んだ。私にとっては、国外にいる者として歯がゆいながらも日本をとにかく何とかしたいと思い、「Save Japan」というメッセージでプロジェクトを立ち上げることにした。メッセージは直感的であったし、積極的な表現で伝わりやすいと思った。それに賛同してくれる仲間が集まり、活動は一気に加速した。しかしその後、何名かの方からSave Japanというメッセージが「助けろ」という言葉遣いでかなり強い、かつ日本が終わってしまっている国という印象を持たせるので「Help」がよいと指摘された。英語の語感というところまで入り込むと、どうしても自分では理解しきれない部分もあったので、20人以上のネイティブスピーカーに相談した。意見は割れ、かなり悩んだ。その中で一人のアメリカ人の顔が思い浮かんだ。ある授業のチームメイトで、これまでのWrite-upから彼の文章センスが素晴らしいことを知っていた。そこで彼に電話して助けてくれ、と言ったら、数分後にいくつかのアイディアをくれた。その中にあった「Stand with Japan」を選んだ。深夜にそのデザインを彼に送ったら、電話がかかってきて、「This is awesome, awesome!」と喜んでくれた。これは心からうれしかったし、何にも負けない強いメッセージになったことを確信した。周りの声を聞くことと、自分で決断し引っ張ること、このバランスの大切さを体で学んだ。


やはり何かを学ぶのは、それ相応の時間をかけたときだ。そしてうれしかった時、悔しかったときを振り返ることが、学びを定着させるのには有効だ。MBAのエッセイライティングで学んだメソッドは、その後も確実に役立っている。

June 16, 2011

次の一手のため棚卸し

MBAの2年間で何を学びたかったか、改めて振り返り、同時に進捗状況をチェックすることで、残りの1年間で何をすべきかを考えた。誰かに伝える定量的なものというよりも、本当に感覚的な自分のためのリフレクション。

2年生になるにあたっての心構えを今まさに卒業したという上級生に尋ねたところ、卒業後にどんなことができるようになっていたいか、そういう観点で授業を選び、活動するとよい、とのこと。そして、もう一回原点に戻ることが大切とも言われた。これまでの社会人人生で得たものの棚卸しをする、次に飛ぶための準備をする、そうした場としてMBAの2年間を位置づけたのであり、そのために徹底的に勉強できる環境にいられることを幸せに思う。

そして、改めて自分のWhy MBA?を思い起こし、どの程度それが実現できているか、今後はどうしたいかを考えてみた。もちろん想像していたのと違ったこともあったけど、求めれば得られる、という環境にいて、自分がどれだけそれを得たかということの確認である。

1. ファイナンス知識の向上
直近業務で必要だったファイナンス知識に関しては、一定のインプットができた。どこまで消化できているかというと、満足行くレベルではないが、少なくともある程度の時間を投下し、特に企業価値評価に関しては、チーム作業でエクササイズを繰り返すことができた。
→企業買収の業務を継続することを想定すると、企業価値評価については今後1年更なる研鑽が必要だ。更に、買収後の企業経営への関わりを考えると、財務諸表からの経営改善を実現するための管理会計知識も増していかなければならない。

2. アントレプレナーシップの学習・実践
新規事業開発のための広義のアントレプレナーシップは、インプットが中心であった。理論として確立はされていないものの、ある程度フレームワークのようなものはあって、それを一通り学んだという感じである。また、実際の起業家に話を聞いたり、スタートアップ企業にプロジェクトで参画したりしすることで、起業家としての力強いマインドや、現場の身軽な活動についても理解を深めた。
→1年間学んでみて、アントレプレナーシップは、逆説的ではあるが、教室で学べる種類のものではないと感じた。次の1年は、アウトプットに比重を移し、自分でアントレプレナーシップを実践することとしたい。100KというMITワイドのビジネスコンペティションに応募しようと思う。

3. インターナショナルビジネス知識の向上
海外企業の買収を進めていくと、将来は国境を越えた組織マネジメントが必要になる。そのためのスキルを向上したいということであったが、これはどちらかというと草の根レベルの活動になった。クラスメイトとの交流から、日本的マネジメントとは異なるスタイルが必要だろうとのイメージを持った。
→翌年はインターナショナルビジネス戦略・組織マネジメントに特化した授業を取って、体系的な学びを得たい。また、IT業界で今後避けて通れないのはインドと中国だが、中国に関しては中国語を学ぶことをTo Doリストに入れる。

4. ソーシャルインパクトに対する意識の向上
これまで公共ビジネスに多く関わってきたこと、また将来社会的意義のある仕事をしていきたいという思いもあって、ソーシャルインパクト関連の考え方にも触れたいと考えていた。ここ1年はボーゲル塾に参加し、日本の将来についてビジネススクール以外の方々とも意見を交わす機会を得た。また、社会との関わりという意味では、震災後にボストンワイドでチャリティTシャツ販売を主導した。
→翌年は、ハーバードケネディスクールの授業を受講し、更なる意識向上に努めたい。また、金銭的インセンティブだけによらない事業推進のモチベーションについて、仲間ともっと議論を交わすこととしたい。

5. コミュニケーションスキルの向上
とにかく日本を離れ、英語・異文化でのコミュニケーションについて自信を持ちたいというのがあった。将来的には、いろんなことへの耐性をつけ、世界中どこでも生きていけるようになりたいと考えている。春学期はBHPという毎週のバーの集まりにはほぼ皆勤し、インターンも米国企業で行う。引っ込み思案にならず、そうした一つ一つの機会を取りにいくように心がけた。
→表面的なコミュニケーションでなく、クラスメイトとはもっと深い話をして、彼らの人間性・価値観について相互理解を深めたい。それは同時に、外の世界と触れることにより、何が日本人の特質かを知ることにもつながるはずだ。具体的にはG-labを受講し、卒業後も残る共同体験が役立つと思う。

6. (生活全体として、)新しいことへの挑戦
Getting out of comfort zoneとは、なんでも自分のコンフォートゾーンから出ればいいというものでもない。あくまで目的があってこそのもの、特に周囲にポジティブなインパクトをもたらすために挑戦していくことだと理解している。とはいえせっかくの2年間の学生生活、あまり堅苦しく考えすぎず、広く生活を充実させるため、これまでの社会人生活ではできなかったことに取り組んでみたいという気持ちはあった。料理を始めたり、(必要に迫られて)運転をしたり、ということはあったものの、決定的に新しいことにはチャレンジしていないかもしれない。
→日々の生活が挑戦の繰り返しだということでもあるが、ぜひ新しいことを始めたい。同級生にギターを習うのなんかよいかもしれない。

卒業後の仕事を見据え、残りの1年間で必要なことをやる。もちろんそれにしばられすぎる必要はなく、ある程度オプションをオープンにしておくこともよいだろう。また、私は今の会社には就職したのであって、就社したのではない。必要以上に会社に媚びず、自分のキャリアを自分で作っていけるように意識しなければならないと思う。日本が内向きにならぬよう、外に出て行くための役回りを担う。友人が、私には長期で日本の経済に貢献するような役回りを期待したい、と言ってくれたが、そうした志だけでなく、それを実現するための具体的な行動についても合わせて考えなければならない。それは、どう生きていくか、どんなことをしたら幸せなのか、どう社会と関わっていくかを考えることに他ならないのだと思う。

June 4, 2011

折り返し地点

先日春学期が終了し、夏休みになりました。アメリカに渡ってはや1年が過ぎようとしてます。病気も怪我もなく過ごせたことを、まずはありがたく思っています。

振り返ってみると、最初つらくて金曜の授業後に自宅ソファで落ちていた頃からすると、だいぶ順応してきたのではないかと思う。ただ、そういう強烈にストレッチする時期を過ぎると、今はなんか間延びした時間のようにも思える。

いったいこの1年で自分は何を学んだだろう。1年前に想像していた地点まで来れているか。折り返し地点を過ぎようとしている今、あせりが出てきています。思ったよりも進歩してないな、というのが正直な感想。それは目標が高いからだ、と言う人もいますが、やはり現状を客観的に見るとまだまだ満足できない。振り返ってみて、勉強はちっともしてないし、英語はちっともできるようにならないし、機会からは逃げてしまうし、コンフォートゾーンにとどまり貪欲さがないな、と思うわけです。そもそもちゃんと努力したか。このありえない環境にいてすら、1年たつとそれが当然のように思えてきて、慣れてしまう。改めて幸せな状況にいることに感謝し、日々を大切に生きようと思う。

春学期の終わりからは、かなりスランプだった。パワーが湧いてこない。1年がたとうとしているのに何も「これ」といえるものを得ていない。震災も追い討ちをかける。そんな話を友人にすると、返ってきたのは、みなそうだ、でもやったことに自信を持て、という言葉。だからその自信が持てなくて困ってるんだろう、と言いたいところだが、彼らの発言そのものがアメリカ的なものの考え方の表れなのかもしれない。

かなり長いスランプを過ごして出てきた割とシンプルな答。高い目標を掲げるのは勝手。ただ、どんなに遠くへ行こうと思ったって、自分の足で一歩一歩進んでいくほかない。どこでもドアはない。明日朝起きたら全てが劇的に変わってるといいなー、と真剣に思うけど、そんなこと起きるはずもないから、しかたなく地道に目の前のことに向かう。そして、いろいろ嫌になってるときは、その根源に正直に向かい合わないとダメ。今回の自分の場合は、いろいろモヤモヤはあったけど、結局は英語が未だにできなくて、コミュニケーションの一つ一つがカンファタブルじゃないことだった。この根っこをそぎとらないことには、いつまでたっても気持ちよくなれない。テレビをつけっぱなしにして、英会話の本を音読する。ベネズエラ人の友達曰く、言語の習得はスローだ、成長は見えにくいが、だからといってやらないといつまでもできないまま。折れずにやるしかない。いつか差がつくはず。そういえば、こないだとてもいい言葉を見つけた。"You will face many defeats in your life, but never let yourself be defeated." Maya Angelou。

そしてさしあたっての問題は、次の1年をどう踏み出していくか。良くも悪くもこの環境には慣れてきてしまっているから、今度はストレッチをかける機会を、外からの刺激によるのではなくて、自分から作り出していかねばならないのがつらいところ。うだうだ考えながら、インターン前、少し充電の夏。

May 18, 2011

MBA夏祭り

アゴス・ジャパンが主催するMBA夏祭りにMIT Sloanからも参加いたします。
日程:7月18日(月・祝)
時間:12:00-15:00
場所:大手町サンケイプラザ 4階ホール(千代田区大手町1-7-2 )

詳しくはこちらからご確認ください。在校生も何名か参加させていただきます。
https://www.agos.co.jp/onlineservices/modules/agendax/index.php?op=view&id=1941

April 30, 2011

ペルーの宿題

東部標準時3月11日朝。日本で地震があったと聞いた、お前の家族は無事か、俺に何ができるか言ってくれ、とたくさんの言葉・メールをもらった。温かいコミュニティで、人対人の関係を作れていることを、そして想定以上の人から気にかけてもらえていることを感じた。自分もそうあらねばならない。

その直後から震災支援関係でばたばたと動いていたが、ある日アメリカ人の友人の家に行き、いろいろな話をする機会があった。人種で固まるのは白人も同じで、文化もユーモアもTVの話も一緒だからだ。でも、そうじゃなく、もっと外に出て行かなければならないという話を仲間内でしたそうだ。昨日のディナーで、最低30分はお前の話をしたよ、という話を聞いて、自分が間違ったことをして来ていなかったことを実感した。その後Squashをやって共に汗を流した。毎週水曜日朝やっているから、お前も来い、とのこと。

また、チャリティTシャツの作業に忙殺され体調を壊し、家で寝込んでいた時に別の友人からTextがあった。寝てると伝えると、明日ご飯食べさせてやると言われる。ありがたい。他にも年明けから振り返ってみると、同じアパートに住むクラスメイトからTextがあって、一緒に近所のバーで飲んでからC-function(学芸会)行ったりとか、地元出身の奴にビール工場見学連れて行ってもらったりとか、セカンドハウスでパーティしたりとか、そういうのの積み重ね。

去年ペルーで考えた、アメリカ人に食い込む、というのがようやく自然体になった気がする。1月のシリコンバレーツアーで、アメリカ人と2人でドライブして会社訪問とか。つらかったけど意味あったな。ようやくここまで来れた。まだまだつらいが、日々の積み重ね。

March 12, 2011

Stand with Japan

2011年3月11日に発生した東北関東大震災の被災地の方々、そして現在日本にいらっしゃる全ての方々へ、心よりお見舞い申し上げます。信じられない映像を見るにつけ心を痛めつつ、皆様のご無事を心よりお祈り申し上げます。

MITスローンスクールに在学中の日本人学生は、国外にいるものとしてできることは限られているながらも、可能な限りの支援をすることが責務と考え、今回“Stand with Japan”と称するプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトを通じ、私たちは日本の災害救助や長期復旧の取組に貢献する方法を考え、実行していきます。


『Stand with Japan Tシャツ』
迅速な初動が大切との考えから、すでにRed Cross等への募金活動は開始しているところですが、それに加え、私たちは、日本人デザイナーとアパレル会社の協力を得て”Stand with Japan” Tシャツを制作し、配布することとしました。このTシャツの目的は、

  1. 私たちの寄付金募集活動をさらに効率的に後押しすること
  2. 日本が直面する壊滅的な災害と復興のための懸命な取組に関し共通の問題意識を共有するコミュニティを形成すること
  3. そのコミュニティからのメッセージを日本にいる方々にも伝えること

です。

この取組みは、Face to Faceでのコミュニケーションを通じたファンドレイズ、顔の見える相手に向けて、寄付金に気持ちを込めることができる活動と考えています。現在MITスローンのみならず、MITワイド、そしてボストンエリアの教育機関・企業等とも連携し、オールボストンの活動とできるよう相談を始めています。本活動の様子は、Facebookのコミュニティページ等で紹介していく予定です。

February 13, 2011

実務的なモチベーションの上げ方

モチベーションの上げ方について。


受験中まったく勉強がしたくなくて、どうしたものかとある日本屋で勉強法の本を何冊も立ち読みした記憶があります。その中で、『レバレッジ勉強法』という本に書いてあった「小学生の勉強法」、すなわち時間割を作る、というやり方には非常に影響を受けました。このシリーズは食わず嫌いの人もいるかもしれませんが、機会があれば手にとってみてください。

やってできないことはあるけれど、いずれにせよやらない限りはできない、というのが大学院受験で学んだこと。というか、むしろやってできなかったところからがスタート。スポーツしたら、勝とうが負けようが筋肉ついてる。ちなみに心理学者マズローが作った
  • 「気分のよさ=実現したこと/期待、見込み」
という式があって、気分をよくするためには分子を大きくするか分母を小さくするかなのですが、分母を小さくする、つまり自分の価値を下げるほうに行っては決していけない。これは19世紀後半に階層化が進む資本主義社会で、革命が起きないよう社会をコントロールするために使われた概念だそうです。人が気分よくなるために自分の価値を下げに行くとしたら、そもそも制度の思うがまま。それに対抗するためには、勘違いでも勝手に期待を高く持って、不安な状態、気分がよくない状態に自分を置くしかない。これが大人のパンクだと信じてます。

松本人志は壁を崩して前に進むために「僕が一番だと思っている」と言い放ちました。石橋貴明も”みなさんのおかげです”を始めるために「○○回以内に視聴率20%に届かなかったら笑いの世界から身を引く」と当時フジテレビの編成局長に直談判した心は、チャンスの女神には前髪しかないからだ、と後に語ってます。すごい人はいるもんだ、とかんたんに片付けず、先に分母を大きくするやり方に、私も学びたいものです。

February 6, 2011

この国のボランティア

先日ボストンのホームレスに食事を出すボランティアに参加しました。教育もしっかり受けられずで、スペイン語しか話せずにアメリカで苦労している彼らと接するとたまたま恵まれた環境にいる自分が何をできるかと考えさせられます。


ボランティアについては、社会がそれを「よいもの」、階層が上の人はやらなければならないもの的な文化を作っていることがこの国の特徴だと思う。(一億総中流ではなく)階層が、ある。ほんとに貧富の差が激しい。読み書きそろばんレベルでも、世界一の大国は問題を多く抱えていると感じます。キリスト教的な、とかいろいろ言いようはあるんだろうけど、結局のところ、フィランソロピーには課税しないとか、相続税は死ぬほど取るとか、そういう具体的な金の流れを社会制度化することと、あとは大学入るにもボランティア経験が活きる(内申点プラス3みたいな)という具体的なメリットが彼らを動かしている側面もあると、たくさんの高校生と一緒に働きながら思いました。

January 25, 2011

起業という別のモチベーション

MITは、アントレプレナーシップに強みがあると言われています。いくつかのモチベーションから、自分もそうした科目を多めに取り、課外活動にも参加しています。

ひとつは、これまでIT企業で非技術者としてキャリア構築してきて、事業創造や事業開発に携わった経験を更に伸ばそうと考えているためです。「技術ベースで」「企業内で」事業を立ち上げ伸ばしていくためのアントレプレナーシップ(あるいはイントラプレナーシップ)は、例えば工学部の学生との共同プロジェクトなどで学ぶことができます。自己のスキルのひとつとして、自分はエンジニアの言葉を翻訳し、ビジネスの視点から捉えて協働できることが挙げられると考えています。このスキルを更に伸ばす経験を、理論および実践の両輪を回して積めるのは大きなメリットだと思います。

もうひとつは、ロングタームで考えた際に、いつか自分で事業をやりたいという想いが漠然とあるためです。その実現手段としてまったくのさらでやるのか、それとも既存企業のスピンアウトのような形態をとるのか、それは実現手段なのでまだはっきりしません。そもそもどんなビジネスアイディアがあるのか、いくつか思いつくものはあるものの、強い信念と成功の確信を持って取り組めるようなテーマは未だ出て来ていません。アイディアの探し方も、柔らかいながらもコツやフレームワークがあるので、今はそれを実際に自分で使ってみながら試行錯誤している最中です。

アントレプレナーシップに興味を持っているのはなぜかと考えてみると、そもそも、人に指図をされるのがとにかく嫌いなのです。これは過去のサラリーマン生活を通じて身に沁みて感じたことでした。起業家になれば、クライアントや株主に指図されることはあっても、少なくとも上司から指図を受けることはない。これはすごいことだ。そういうわけで、私のアントレ志向はキャリア・アスピレーションと言うよりは、むしろ性格特性から来ているのでした。

一方で、起業家としての行き方を選択するというのは、そう甘っちょろいものではないことも認識しなければなりません。こちらでは授業で教授が問うのも、実際の起業家が自己の体験を語ってくれる時に質問されるのも、「あなたは本当に起業家になんて馬鹿なものになりたいの?」ということです。世の中には、もっと楽にもっと大金を稼ぐ手段がたくさんある。それなのに、止むに止まれぬ想いであなたを起業に駆り立てるものはいったい何か。そうした問いに対し、果たして自分が本当に起業家になりたいか、というとそこまでの覚悟はできていないと認めざるをえません。自己裁量で仕事をしたいだの、イノベーティブな生き方がしたいだの、そんな戯言ではない世界が待っていることを思うと、どうしてもひるんでしまいます。ままごとではないのだ。

実際の話、何かを一から作り上げるよりも、既存のものを育てていくほうが数十倍も数百倍も容易だし、効率もよい。そして人生は仕事だけではない。起業するということは、起業家という生き方を選択することであり、(少なくとも事業を軌道に乗せるまでの数年間は)生活の充実とかバランスとかとは無縁の、ビジネスの世界に骨の髄まで漬かるということを意味する。始業時間も終業時間もない。フリータイムもないし休日もない。ビジネスのことが頭から離れない。そんな人生を私はあなたにお勧めしない、と彼らは言うのです。相当に重い言葉ですね。

しかしながら、やはりアントレプレナーシップについては学びを深めたいです。どうやって物事を一から始めるか、どうやって人を説得し、巻き込み、大きくしていくか。それについて学ぶことはきっと将来どんなビジネスをやるにおいても、あるいは仕事以外の人生においても意義があると思っています。

キャリア選択のことを考えても、それはきっと一段大きな視点を与えてくれるはずです。すなわち、どんな業界で働きたいか、どの会社がよいかと考えることは、一見すると可能性を網羅的に見ているようでありながら、実はどこでサラリーマンをやるか悩んでいる、というだけの違いでしかありません。自分がそれを選択するかどうかは別として、少なくとも起業という選択肢が世の中にはあると現実感を持って知ることによって、例えば自分が検討しているあのキャリアとこのキャリアでは、その後の人生が180度変わる、というほど大きなものではなく、誤差の範囲だな、と思えるかもしれません。

January 24, 2011

目標感の再認識

先週、某コンサルティングファームのインタビューで、自分について深掘りして話す機会があり、そこでなぜ自分がMBAを取りたいと思ったか、改めて目標感を確認することができた。

強烈なイメージとして残っているのは、2009年秋に世界展開を進める日系小売企業の役員とお会いした時のこと。我々はどんどん外に出て行くが、その時に組む相手は世界について知っている会社。一緒に勉強させてください、では心許なくて組めない。これを聞いたときには、やったことがないからできない、やれないから経験が貯まっていかない、結果どんどん世界から取り残されてしまう、という負のスパイラルに入り始めていることに心底あせりを感じた。そして、それを個人レベルで打破するための方策として、MBAへの決意を強くした。

そして直接的なWhy MBA?となっているのが、昨今のIT業界におけるグローバルレベルでのアライアンス推進。私のいた組織でも、海外M&A案件はどんどん増えている。同僚によれば、各国の対象企業とテレフォン・カンファレンスが日常的に行われ、英語や中国語で交渉する機会がよくあるようだ。昨今ITのビジネス環境は急速に変化している。

もちろん、これが直に、今後はどんどんグローバル案件に従事できる!というほどオポチュニティに溢れているわけではないことは承知している。IT企業の本業は当然のことながらアライアンスではなくアプリケーションの製造販売である。M&Aはあくまでも戦略を実現するひとつの手段であり、しかも飛び道具。

ただし、その機会があった際にそこに入り込めるようにReadyの状態を作っておくことはとても大切。実際に、もといた組織では、現在は英語や中国語ができるメンバーが海外案件を担い、そうでないメンバーは日本国内の案件に携わる、と明確に線引きされているそう。市場に変化があった地点から、じゃあ担当者であるあなたは、ベルリッツでも行ってスキルアップしてきてね、なんてことには決してならない。他にできる人がいたら、その人に国際案件が割り当てられる。

いくらM&Aの経験を国内で積んでいても、そもそも語学ができなかったら海外で交渉ができない。だから、少しくらいM&Aの経験がなくとも語学ができる人材が抜擢される。M&Aは、やりながら学んでね、わからないことがあったら周りに訊いてね、という具合だ。それくらい、語学および海外ビジネス経験は必須のスキルで、当該組織の国際M&A業務に関して言えばいわばノックダウンポイントになっている。経験に裏打ちされたスキルがないと、チャンスすら与えられないというのは、なんとも厳しい状況である。しかし逆に言えば、そのスキル経験を持っていれば、抜擢される可能性が高まるということであり、そして留学はそれを増す絶好の機会だ。

「どうやったら今後グローバルに働ける環境に身を置けるか」というのは、今の私にとって、キャリアを考える際の大きな問いになっている。それをブレイクダウンすると、ひとつは、自分自身のスキルとして、国際環境におけるコミュニケーション能力をどう劇的に高められるかである。これは答えの方向性はクリアーで、そのための筋力トレーニングを積む必要がある。プロジェクトやリーダーシップポジションなど、実際に体を動かす経験を通じ、積極的に取りに行かねばならない。

そしてもうひとつは、どこにグローバルビジネスに携われるオポチュニティを見出すか、ということである。これはなかなか難しい。一昔前は、企業派遣ではMBAを取ってもその後それを活かす仕事に恵まれず、企業個人ともに不本意な結果に終わることも少なくなかったと聞く。ここで仮に、MBA後に活かすべきアセットがマネジメント知識・スキルとグローバルコミュニケーション能力であると乱暴に整理したとする。この場合、高レベルのマネジメントに携わりたいという場合はともかくとして、グローバル業務に限って言えば、これまではそうした機会が日本国内にそう多くなかったというのが実情であろう。

しかし、その状況は大きく変わりつつあると思う。先述の小売企業もそうだが、いまや多くの日系企業が本気でグローバル進出を進めている。同時に国内にもかつてないほど外国企業が入ってきて競争をしている。ITの世界でも、顧客企業の国際展開に対応するのが求められるのはもちろんのこと、例えば韓国企業は日本の官庁案件にも入札しているし、日本のIT企業もアプリケーションの製造では中国やインドにオフショアするのは当然のことになっている。

IT業界に限らず、好むと好まざるとに関わらず、これからのビジネス環境は必然的にグローバル化する。そうした国際競争の中で日本企業がどう戦っていくか、大きなグローバル化の流れに対し、どのレベルで関わるか。それを見定め、決定していかなければならない。私のキャリアにおけるモチベーションとして、「世界に通用する強い日本企業をつくりたい、そのために自分ができることで貢献していきたい」というのがある。残念なことに、私は強い日本を知らない。高校生の時にはバブルが崩壊し、大学時代に日本経済の縮小を見て、就職氷河期と呼ばれる時期に就職した。

今ビジネススクールで学んでいても、日本企業あるいは日本という国のプレゼンスは極めて低いと感じる。授業ではまだ日本企業のケースは見ていないし、クラスメイトの日本、少なくとも日本企業に対する興味もさほど高くない。Japan Trekというクラスメイトの日本へのスタディツアーを企画するために話をしていても、本当に、彼らの口から出てくる企業名はトヨタ、任天堂くらいのものだ。もちろんそれらの従来から言われる超一流日本企業はビジョナリーで日本が世界に誇れる企業だが、一方で、いつまで日本=トヨタなのか、もういいかげんその状況が変わってもよさそうなものだとも思う。

私は、もう一度強い日本をつくりたい。世界に打って出て、勝っていける企業を増やしたい。そしてそのための地力は十分にあると確信している。私の派遣元である企業も、海外展開に大きくシフトしている。したがって、MBA後のキャリアとしては、自らが事業会社に身を置き、その戦略を推進するというのは、当然に考えられるオプションだ。そして他のオプションとしては、(例えばコンサルタントとしての立場から)海外に出て行ける日本企業を何社も作ることだ。これはレバレッジが効くアイディアなので、別の観点から魅力的だ。

自分の興味の方向性、スキル能力、性格特性を鑑みた際に、どういうやり方が一番インパクトを与えられるか、具体的な関わり方については引き続き考えていこうと思うが、留学して半年たった今の時点で、早くも忘れかけていた当初の想いを、図らずもインタビューで言葉をつなぐ中で、生々しい形で再認識できたことは大きな収穫だった。

January 2, 2011

インタビュー対策

去年の年末年始を振り返ると、私は12/311/2Mock Interviewに行った記憶があります。2nd出願も今が山場。皆さんが心をわしづかみにする、力強いエッセイが書けていることを祈っています。

面接対策も並行で大変な時期と思います。私は面接官がメモを取ることを意識し、彼らが書きながら頭に入りやすいように、物語の構造とメッセージを研ぎ澄ましていました。それが案外2ndのエッセイにも反映されてよくなった気がしてます。

ちなみにインタビューでは、トップ校からはどこも自校が第一志望かどうかを念入りにチェックされた記憶がありますが、MITで第一志望だ、と言ったら「Whartonが第一志望といわなくてよかったよ」と返されたことを覚えています。Kelloggでは、そのゴールでStanfordINSEADよりもうちな理由は何?と深掘りされました。ChicagoWhy Chicago?の後にHow did you confirm it?と来ました。危険。インタビューはスピーチではなく対話なので、ジャブを振られても慌てず会話のリズムを保てるよう心がけてください。

よい結果になりますように。

January 1, 2011

積み木を増やす

あけましておめでとうございます。アメリカはクリスマス休暇がある代わりに正月休みという習慣がなく、明日からシリコンバレーにスタディツアーに行きます。現地ではいくつかのスタートアップ企業を自分で選び訪問します。ツアー自体は毎年恒例のものですが、学校側からお膳立てされて提供されるのではなく、有志の学生が手作りで内容を詰めていきます。各校そうだと思いますが、MBAプログラムは本当にリーダーシップと言うか、自ら動く機会が豊富に用意されています。

日本を離れ年を越して思うこと。かなりアメリカに影響を受けてやな感じになってるかもしれませんがご容赦ください。

振り返ると、新しいことの連続でした。まるで電車に乗せられているように過ぎる毎日、話には聞いていたものの、やはり忙しい。アメリカ人は何しゃべってるかわかんないし、自分の言いたいことはうまく伝えられないでフラストレーションたまるし、学費はいつのまにか延滞金かけられるし、ビザは有効期限切れるし。勉強はできないししたくないし、微分はそもそもやったことないし。アルコールで憂さを晴らそうと思ったってバーは戦場だし、スーパーでルートビールとかいうの買ったらただの清涼飲料だし、知らない土地で文化も違い、バーでの注文や電気代一つ払うのにも要領を得ないくらいひとつひとつパワーのいる生活でしたが、みなさまのおかげでパワーをもらい、なんとかやってこれました。どうもありがとうございます。

昨年はいろいろ考え、といっても実際にはあまり考える暇もなくひたすら動いてきたわけですが、そこからひとつ学んだことがあります。それは、僕らは具体的な目標を持ち、それに向けて具体的に体を動かすことでしか成長することはない、ということです。将来グローバルに働けるようになるために、とにかく英語でのコミュニケーションに重点を置いて生活しました。で、半年動いてみると、面白いのは、当初の目標とはだいぶ違った感じになるということ。英語は思った以上に上達しない。一方で自分が日本人、アジア人であることをより意識するようになり、経済もアメリカ一辺倒ではなくアジアを無視しては成り立たなくなる中で、次は中国語を勉強したいと思うようになりました。当初はまさか自分が中国語を勉強したいと思うとは想像しなかったので、不思議な話です。まあ、でもそれもよし。

目標なんて設定したってどうせずれる。でも、それでも、何か具体的に向かう先を設定することは重要。とにかく成果が見えやすい、具体的な目標を立てて動くこと。英語をやる、ではなく、例えばどんなに辛くても毎週バーに行って英会話すること。アクショナブル。で結果中国語ってのも変な話だけど、行き先がどこになったっていいじゃないか、というのが今の感覚です。行動には結果が伴う。

そして、大学院というのは知識を得るところかと思っていたけれど、実際には次から次へといろんなものが降ってきて、流れるばかりで今のところ何も定着しない。完全に消化不良。

ただ、それでも何も得ていないわけではないはずで、それを自分なりに振り返ってみると、少しだけいろんなことにびっくりしなくなったかもしれない。そこで、自分のMBAでの学びは積み木を積み上げるのでなく積み木の数を増やすことと位置付ける。今どんなに早くうまく積んでも、ピースの絶対値が少なかったら将来高く積めない。消化不良を恐れず、ピースをたくさん手に入れる、もっといろんなことに驚かなくする。

というわけで、今年の抱負、「積み木を増やす」。

おかげさまで日本を離れて無事心身健康に半年を過ごすことができました。皆さんにありったけの感謝を、そして新しい年に幸福を。