2010-2012年、MIT Sloan MBAプログラムに留学していました。アカデミックな話題から、ボストン生活、趣味まで、日々感じることを書いています。

June 16, 2011

次の一手のため棚卸し

MBAの2年間で何を学びたかったか、改めて振り返り、同時に進捗状況をチェックすることで、残りの1年間で何をすべきかを考えた。誰かに伝える定量的なものというよりも、本当に感覚的な自分のためのリフレクション。

2年生になるにあたっての心構えを今まさに卒業したという上級生に尋ねたところ、卒業後にどんなことができるようになっていたいか、そういう観点で授業を選び、活動するとよい、とのこと。そして、もう一回原点に戻ることが大切とも言われた。これまでの社会人人生で得たものの棚卸しをする、次に飛ぶための準備をする、そうした場としてMBAの2年間を位置づけたのであり、そのために徹底的に勉強できる環境にいられることを幸せに思う。

そして、改めて自分のWhy MBA?を思い起こし、どの程度それが実現できているか、今後はどうしたいかを考えてみた。もちろん想像していたのと違ったこともあったけど、求めれば得られる、という環境にいて、自分がどれだけそれを得たかということの確認である。

1. ファイナンス知識の向上
直近業務で必要だったファイナンス知識に関しては、一定のインプットができた。どこまで消化できているかというと、満足行くレベルではないが、少なくともある程度の時間を投下し、特に企業価値評価に関しては、チーム作業でエクササイズを繰り返すことができた。
→企業買収の業務を継続することを想定すると、企業価値評価については今後1年更なる研鑽が必要だ。更に、買収後の企業経営への関わりを考えると、財務諸表からの経営改善を実現するための管理会計知識も増していかなければならない。

2. アントレプレナーシップの学習・実践
新規事業開発のための広義のアントレプレナーシップは、インプットが中心であった。理論として確立はされていないものの、ある程度フレームワークのようなものはあって、それを一通り学んだという感じである。また、実際の起業家に話を聞いたり、スタートアップ企業にプロジェクトで参画したりしすることで、起業家としての力強いマインドや、現場の身軽な活動についても理解を深めた。
→1年間学んでみて、アントレプレナーシップは、逆説的ではあるが、教室で学べる種類のものではないと感じた。次の1年は、アウトプットに比重を移し、自分でアントレプレナーシップを実践することとしたい。100KというMITワイドのビジネスコンペティションに応募しようと思う。

3. インターナショナルビジネス知識の向上
海外企業の買収を進めていくと、将来は国境を越えた組織マネジメントが必要になる。そのためのスキルを向上したいということであったが、これはどちらかというと草の根レベルの活動になった。クラスメイトとの交流から、日本的マネジメントとは異なるスタイルが必要だろうとのイメージを持った。
→翌年はインターナショナルビジネス戦略・組織マネジメントに特化した授業を取って、体系的な学びを得たい。また、IT業界で今後避けて通れないのはインドと中国だが、中国に関しては中国語を学ぶことをTo Doリストに入れる。

4. ソーシャルインパクトに対する意識の向上
これまで公共ビジネスに多く関わってきたこと、また将来社会的意義のある仕事をしていきたいという思いもあって、ソーシャルインパクト関連の考え方にも触れたいと考えていた。ここ1年はボーゲル塾に参加し、日本の将来についてビジネススクール以外の方々とも意見を交わす機会を得た。また、社会との関わりという意味では、震災後にボストンワイドでチャリティTシャツ販売を主導した。
→翌年は、ハーバードケネディスクールの授業を受講し、更なる意識向上に努めたい。また、金銭的インセンティブだけによらない事業推進のモチベーションについて、仲間ともっと議論を交わすこととしたい。

5. コミュニケーションスキルの向上
とにかく日本を離れ、英語・異文化でのコミュニケーションについて自信を持ちたいというのがあった。将来的には、いろんなことへの耐性をつけ、世界中どこでも生きていけるようになりたいと考えている。春学期はBHPという毎週のバーの集まりにはほぼ皆勤し、インターンも米国企業で行う。引っ込み思案にならず、そうした一つ一つの機会を取りにいくように心がけた。
→表面的なコミュニケーションでなく、クラスメイトとはもっと深い話をして、彼らの人間性・価値観について相互理解を深めたい。それは同時に、外の世界と触れることにより、何が日本人の特質かを知ることにもつながるはずだ。具体的にはG-labを受講し、卒業後も残る共同体験が役立つと思う。

6. (生活全体として、)新しいことへの挑戦
Getting out of comfort zoneとは、なんでも自分のコンフォートゾーンから出ればいいというものでもない。あくまで目的があってこそのもの、特に周囲にポジティブなインパクトをもたらすために挑戦していくことだと理解している。とはいえせっかくの2年間の学生生活、あまり堅苦しく考えすぎず、広く生活を充実させるため、これまでの社会人生活ではできなかったことに取り組んでみたいという気持ちはあった。料理を始めたり、(必要に迫られて)運転をしたり、ということはあったものの、決定的に新しいことにはチャレンジしていないかもしれない。
→日々の生活が挑戦の繰り返しだということでもあるが、ぜひ新しいことを始めたい。同級生にギターを習うのなんかよいかもしれない。

卒業後の仕事を見据え、残りの1年間で必要なことをやる。もちろんそれにしばられすぎる必要はなく、ある程度オプションをオープンにしておくこともよいだろう。また、私は今の会社には就職したのであって、就社したのではない。必要以上に会社に媚びず、自分のキャリアを自分で作っていけるように意識しなければならないと思う。日本が内向きにならぬよう、外に出て行くための役回りを担う。友人が、私には長期で日本の経済に貢献するような役回りを期待したい、と言ってくれたが、そうした志だけでなく、それを実現するための具体的な行動についても合わせて考えなければならない。それは、どう生きていくか、どんなことをしたら幸せなのか、どう社会と関わっていくかを考えることに他ならないのだと思う。

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