2010-2012年、MIT Sloan MBAプログラムに留学していました。アカデミックな話題から、ボストン生活、趣味まで、日々感じることを書いています。

February 20, 2013

10年後の人材価値

今日時点で、日本の外で、日本語を使わなくともビジネスの世界で何かできる、というのは徐々に自信になってきてる。本当に日々のことで言えば足らないところは痛感するし、日本語に比べて全てにおいて効率が悪いからもっともっとできなければいけないのだけれど、それでも一言でいうと、まあなんとかなってる。

一方で、「一生メシ食っていけるか」ということは手ごたえ半分、不安半分。

こちらヨーロッパで働いても実感するけれど、英語は本当に武器になる。特に日本のジョブマーケットではまだまだいける。企業がグローバルに市場展開しようと思ったら、どんなに内部オペレーションを英語で統一しても、ローカルのGo-to-market部分でインタープレターとしての役割は残る。それは外資が日本マーケットを統括するケースでも、日系企業が海外現地オフィスを統括するケースでも、いずれの場合でも当てはまる。したがって、英語ができる日本人の需要は(面白い仕事かどうかを置けば)10年経っても引き続きある。上意を伝達し、確実に遂行する。その意味では、まあ極端な話、ある程度の英語さえできればどこかでは食っていける気がする。需要と供給のバランスが悪いというだけのことだが、そうした高級通訳人材は求め続けられる。今の自分の役割もそんなもの。

一方で、英語が当たり前に使えることが前提の仕事環境では、真の意味でのビジネス能力だけが差異化要因になる。本当にグローバルでの人材競争。国籍肌の色なんか関係なく、要は1円でも多く持ってこれるのは誰かという競争。天下一武道会。そこで生き抜き、スタンドアウトするための能力とは何か。前回も書いたように、飛び抜けた何か、例えば市場の臭いをかげるトレーダー、クロスボーダーディールに長けたFA、国際連結決算ができる会計士、グローバルでのインダストリーエキスパート、あるいは現地マーケットで太い人脈を持った人。そうした国を超えて評価される専門性か、あるいはCOO・CFOパスに乗る組織運営能力か。それはまだ何も持てていない。

かなり乱暴に言うと、企業から見たMBA卒業生のセールスポイントは、1)若くて(Juniorレベル)、2)アスピレーションが高く(よく働く)、3)英語ができて、4)モビリティが高い(中途採用できる)、の4点だと思う。そのうち、早晩1は失われ、2もただ単体で長時間労働すれば価値が出るものでもなくなってくる。その時残るのは3と4だけ。それでも雇ってくれる会社はあるのか。例えば卒業後10年たっても、引き続き引く手がある人材になるためには、どのようにキャリアを積んでいけばよいのか。

使い減りしない優秀な人材、から、財務的なインパクトを生み出せるマネジメントに変容していかねばならない。しかもその能力をポータブルにする必要がある。特定組織内の政治に長けているとかでなく、この人は、どの会社でもマネジメントとして成果を上げることができる、という中身のある(したがってジョブマーケットでも評価されるような)人材になるために、今日何をすべきか。自分は正しい道を行っているか。成長のスピードは十分か。そんなことを自分に問う。正直自信がないけれど、それでも夢想せずないものねだりせず、目の前のことに向かうしかない。

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