2010-2012年、MIT Sloan MBAプログラムに留学していました。アカデミックな話題から、ボストン生活、趣味まで、日々感じることを書いています。

July 17, 2011

組織を国際化するためのチャレンジ

こちらでの勉強から、企業の競争力を高めるための人事採用に関心を持ち、特に日系企業の採用の実態について知りたいと考え、NYでのインターン中にMBAの仲間にお願いして、10社以上の企業に話を伺ってきた。そこからの学びをまとめてみる。

今回は日系企業の米国オフィスにインタビューしたため、日本企業が国際化していく中での組織的なチャレンジについて伺える機会が多かった。出向者と現地採用者がどのような比率でいるにせよ、まず言語は課題である。組織内にバイリンガルをどの程度求めるかにより、採用時点から制約がかかる。また、組織内の意思決定制度により、主に東京本社との遠隔コミュニケーションとの頻度が変わる。これがビジネスのスピードに影響する。

訪問したある商社では、事業モデルが従来のトレードから投資へと変化してきたという話を伺った。そしてその変化のスピード感は、従来型の繊維・化学部門や比較的最近の電力・インフラなど、事業部門によって異なるとのこと。それに対応するために、グローバルベースでの人事データベースを整備し人的資源の配分をよりダイナミックにすると共に、事業部門を越えた人事異動により、OJTの効果も狙うと言う。どこにどんな能力を持った人がどれだけいるか、これを見える化することが企業の競争力に直結する時代になった。

最後は、ダイバースな組織でコミュニケーションを活性化するためのしくみづくりについて。ある金融機関では、Charity Fridayと称したカジュアルフライデーを実施しているとのこと。これは、とりわけフォーマルな装いが多いウォール街のオフィスにおいて、数ドル払うことでカジュアルな装いが許可されるというもの。ここで集められたお金は、チャリティに回される。チャリティは外部への募金だけでなく、社員に渡されることもある。というのは、社員誰でもチャリティアイディアを応募することができる。たとえば、台所の水周りの調子が悪いので修理をしたいとか、子供の受験が終わったので家族で旅行に行きたいとか、なんでもよいそうだ。これが社員同士が仕事外のパーソナリティ・趣味嗜好を知ることにつながり、コミュニケーションが活性化したという。米国では、ビジネスパーソンが特に家族を大切にし、ワークライフバランスについて真剣であると感じる。日系企業が海外進出するに当たり、そうしたワークスタイルを理解し、しかけを整備することは実は重要だと感じた。

あらゆる企業にとって、ヒトは競争力の源泉である。そして組織制度設計が、採用活動ひいては企業の競争力そのものにもにも効いてくる、という影響力の大きさを改めて感じた。

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