2010-2012年、MIT Sloan MBAプログラムに留学していました。アカデミックな話題から、ボストン生活、趣味まで、日々感じることを書いています。

July 21, 2011

アドミッションによる学校説明会のご案内

MIT SloanのAdmission Officeによるオフィシャル・イベント(MIT Sloan on the Road)が東京で行われます。Sloanについてよく知る絶好の機会だと思いますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。

日程:2011年10月6日(木)
時間:18:00-20:00
場所:丸ビル Conference Square, Room 2-4-1
事前エントリーは以下から。同リンク先の「MIT Sloan on the Road -- Tokyo」欄をクリックして申込を行ってください。
http://mitsloan.mit.edu/mba/admissions/attend-event.php

July 20, 2011

Back in Boston

二つ目のインターンは、ボストンに戻って従業員1万人を超す巨大なIT企業へ。組織は北米各地の他、ヨーロッパ、中東、インド、オーストラリアとまさにグローバル企業。マネジメントはTV会議のセットを自ブースに持ち、日常的にそれを使ってコミュニケーションしています。加えて、フィジカルにも彼らは世界を飛び回っている。こうしたワークスタイルを見ると、ITの世界では、もう時間距離はなくなっているのだと感じます。The World Is Flat。

内容は、Global Delivery部門の成長戦略策定ということで、特に新規売上を伸ばすため、サードパーティベンダーとの連携推進の可能性を検討することになりました。これまでの知識経験が活きるよい役割を与えられたと思うので、しっかり取り組みたいと思います。

しかしこうした環境において、トップマネジメントと直接やり取りができるのはうれしい話ですが、彼らと一緒に仕事をするのはとにかく時間が取りにくくて大変だと感じます。タスクは一瞬電話で話を受けたのみで、次のミーティングは来週水曜日、それまでに十分なインプットができるよう、今はそこから順に社内関係者にコンタクトしながら進めているところです。はじめまして・・・、こんな仕事やることになったんだけど・・・、こういう情報を手に入れたい・・・、の繰り返しで徐々に進み、ようやくスタート地点に立ってきた気がします。遠隔コミュニケーションが日常的に起こる中での業務推進というのはこれからのグローバルビジネス全般の要求事項と感じているので、ぜひ今回は、そうした環境の中でクオリティの高い仕事ができるよう自分を磨きたいと思います。

July 19, 2011

仕事より大切なもの

仕事よりも大切なもの。

アメリカに来て少なくともひとつだけ学んだことは、彼らはわがままなほど家族を大切にするということ。スタンリーカップというアイスホッケーのチャンピオンリーグで地元Bruinsは優勝しましたが、その時にMVPを取ったTim Thomasというゴーリーは、「スタンリーカップは大事だけど、でもそれより家族のほうが大切だからね。彼らがいるおかげで、プレーできる」と言ってました。これは心に残った。

仕事は比較的短期で明確な成果が見えやすい。そして、人からも評価されやすい種類の活動だ。だから、それにやりがいを感じて、ついついそれに没頭してしまうことはある。一方で、自分の生活、特に家族友人との関係は、長期で、しかも形が見えにくい。そもそも成果を上げるような種類のものですらない。でも、それは人生の基盤だ。リーダーシップの授業で、大切なものと問われたときに、家族と答えるアメリカ人は多い。以前にアメリカ人の友人が言っていた。人生の目標は2つある。ひとつはお金を稼ぐことで、もうひとつは幸せな家庭を築くことだ、という言葉は、そのアメリカ的な価値観を表しているのかもしれない。そうした発言がアメリカ人にとっての社会規範なのか、それとも本当に信ずる価値なのかはわかりづらいところもあるが、少なくとも日本に比べて家族を大切にしている、と正面切って言う文化があると感じている。

何のために働くのか、何のために学びに来たのか、やはりどう生きれば幸せなのか、というところに行き着く。家族友人、自分にとってはかけがえのない (irreplaceable) ものだし、それがあってこその仕事勉強なのだということは忘れてはならないな。

July 17, 2011

組織を国際化するためのチャレンジ

こちらでの勉強から、企業の競争力を高めるための人事採用に関心を持ち、特に日系企業の採用の実態について知りたいと考え、NYでのインターン中にMBAの仲間にお願いして、10社以上の企業に話を伺ってきた。そこからの学びをまとめてみる。

今回は日系企業の米国オフィスにインタビューしたため、日本企業が国際化していく中での組織的なチャレンジについて伺える機会が多かった。出向者と現地採用者がどのような比率でいるにせよ、まず言語は課題である。組織内にバイリンガルをどの程度求めるかにより、採用時点から制約がかかる。また、組織内の意思決定制度により、主に東京本社との遠隔コミュニケーションとの頻度が変わる。これがビジネスのスピードに影響する。

訪問したある商社では、事業モデルが従来のトレードから投資へと変化してきたという話を伺った。そしてその変化のスピード感は、従来型の繊維・化学部門や比較的最近の電力・インフラなど、事業部門によって異なるとのこと。それに対応するために、グローバルベースでの人事データベースを整備し人的資源の配分をよりダイナミックにすると共に、事業部門を越えた人事異動により、OJTの効果も狙うと言う。どこにどんな能力を持った人がどれだけいるか、これを見える化することが企業の競争力に直結する時代になった。

最後は、ダイバースな組織でコミュニケーションを活性化するためのしくみづくりについて。ある金融機関では、Charity Fridayと称したカジュアルフライデーを実施しているとのこと。これは、とりわけフォーマルな装いが多いウォール街のオフィスにおいて、数ドル払うことでカジュアルな装いが許可されるというもの。ここで集められたお金は、チャリティに回される。チャリティは外部への募金だけでなく、社員に渡されることもある。というのは、社員誰でもチャリティアイディアを応募することができる。たとえば、台所の水周りの調子が悪いので修理をしたいとか、子供の受験が終わったので家族で旅行に行きたいとか、なんでもよいそうだ。これが社員同士が仕事外のパーソナリティ・趣味嗜好を知ることにつながり、コミュニケーションが活性化したという。米国では、ビジネスパーソンが特に家族を大切にし、ワークライフバランスについて真剣であると感じる。日系企業が海外進出するに当たり、そうしたワークスタイルを理解し、しかけを整備することは実は重要だと感じた。

あらゆる企業にとって、ヒトは競争力の源泉である。そして組織制度設計が、採用活動ひいては企業の競争力そのものにもにも効いてくる、という影響力の大きさを改めて感じた。

July 11, 2011

インターン先CEOとの食事

ひとつ目のインターンが終了した。最終報告後、CEOとは一緒に食事をしながら、会社設立からこれまでの経緯について伺うことができた。

印象に残っているのは、「アイディアよりも先のチーム作り」「キャッシュの重要性」「スケールアップの仕方」「立ち上げと管理の違い」である。このアイディアを事業化しよう、という方法もあるが、この人と何か一緒にしよう、と思えるようなネットワーキングをしておくことが、その後に来るたくさんの困難に共に打ち勝っていくためには非常に重要である。最初のチームは2~3人がベスト。そして、当然のことだが、事業立ち上げからしばらくはキャッシュフローがマイナスになるので、それに耐えうる資金を準備しておくことも組織の雰囲気を健康に保つためには大切。更に顧客開拓の実務。初期的に知り合いのいる企業への導入を終えた後、彼らはオンラインの求人リストを見て、自社のソリューションがマッチしそうな会社に片っ端から電話をかけていったそうである。この具体的な行動こそが、年商1億円を超える企業を作り上げた原動力なのだと学んだ。最後は、立ち上げフェーズから管理フェーズへの移行の話。CEOは、自分は何かを始めることは得意だが、組織管理には向いていない、だからプロの経営者にCOOを依頼することとした、と言っていた。どんな人も万能ではない、長所短所を知り、それをうまく人とミックスさせることで、組織としてのリーダーシップを増していくことができるという言葉には重みがあった。

また、成功した事業家とともに働く中で、彼の立ち居振る舞いから学ぶことも多かった。仕事と家族を両立したワークスタイル、自信を持った話し方、インターンである私を含めた社員への配慮・動機付けの仕方、一ビジネスパーソンとしてよいモデルを見ることができた。

July 10, 2011

学校説明会のご案内

MIT Sloan School of Managementの在校生・卒業生による学校説明会を開催致します。参加お申込はMIT Sloan 101から(先着100名様限り:当日は確認メールのプリントアウトをご持参下さい)。
日程:8月28日(日)
時間:14:00-16:00 (13:30より受付開始)
場所:六本木アカデミーヒルズ49 カンファレンスルーム1+2
内容(予定):
1. 基調講演-井澤吉幸氏(株式会社ゆうちょ銀行 取締役代表執行役社長、MIT Sloan Asian Executive Board Member)
2. 学校紹介プレゼンテーション
3. 在校生・卒業生パネルディスカッション
4. 在校生・卒業生への個別Q&Aセッション

* 本説明会は在校生・卒業生による自主的な企画イベントであり、アドミッションプロセスとは一切関係ありません
* 当日はカジュアルな服装でお越しください

July 9, 2011

つくられる限界

ひとつめのインターンをNYでやっているのですが、それが早くも終わろうとしています。そこでふと考えたこと、限界について。

よく言われる心理的壁。陸上競技を例に取ると、100m走でも1マイル走でも、なかなか破れない世界記録があって、それがひとたび更新されると続々と新記録が生まれる。また、日本人のメジャーリーグ挑戦も、野茂が道を拓いて以降、現在では多くの選手が活躍できるようになった。

それを自分にも当てはめてみる。すると、日々いかに多くのことから逃げていることか。Get out of comfort zoneであるべき2年間なのに、これはアメリカ人じゃないと難しい、とか、帰国子女ならできただろうに、とか、勝手に限界を設定していることが多いことに気づく。ビジネスアイディアのブレインストーミングをする「アイディアストーム」という集まりには興味があったものの、結局フルスピードのコミュニケーション能力に自信が持てず参加しなかった。今年のSloan合格者の歓迎パーティのアンバサダーや、新1年生の世話役となるパイロットというポジション、授業の手伝いをして給料が支払われるティーチングアシスタントもやりたいなと思ったが、やはりコミュニケーションへの懸念から見送った。米国でのインターンもそのひとつで、なかなか厳しいのではないか、と勝手に限界を作っていたところがある。実際に就職活動をして、もちろんそんなにかんたんなものじゃなかったし、冷や汗をかき散々な思いもたくさんしたけれど、それでも命を取られるわけではなかったし(当たり前だが)、最終的にはポジションも得た。

友人のアドバイスを思い出す。表面張力の話。常にグラスからこぼれそうなくらい水を張っていると、いつかグラスそのものが大きくなる。自分の経験からも、ガラス製の器が大きくなる、というのは言いえて妙で、よもや伸縮しないだろう、と思われるもののサイズが本当に変わる。そしてそれを成し遂げるためには、思いと忍耐がなければ続けられないので大変だけど。

先日MITの研究者と、ストレッチの方法について話をする機会があった。ストレッチには2種類のアプローチがある、と仮定して、どちらをより多く採ってきたかを振り返るというもの。

ひとつめは、少しだけ背伸び、を繰り返すやり方。無理やり自分を快適でない環境に置き、そこで慣れさせることでなんとか及第点を取ろうと努力する力で成長を図る。自分の中では、マラソントレーニング手法と名づけている。昔長距離走の選手に、マラソンの練習方法を尋ねたところ、毎回の練習で、常に「いや、これだとちょっときついな」というスピードで走れ、そうすると一番早道でスピードとスタミナがつく、とアドバイスを受けた。これは別に忍者が木を植えて成長に合わせて高飛びの高さを上げていく、でも何でもよいのだが、要は常に落ち着かない状況を作り出す、ということ。この1年では、とにかくバーに通い続けたことくらいしか背伸びはしてないなと反省しつつ、ちょっとだけ耐性はついた気もする。

もうひとつは、超身分不相応の環境に入り、赤点を取り圧倒的にできないことで落ち込みながら、それを挽回しようとする力で成長を図るやり方。これは自らの意思というよりは、どちらかというと、放り込まれることのほうが多いかもしれない。自分にとってはMBA受験の最初のインタビュートレーニングは、ほとんど丸腰で行ったのでこてんぱんだった記憶が鮮明に残っている。こちらでの授業でも、コミュニケーションのクラスでいきなり当てられてみんなの前で即興スピーチをやらされたり、プロジェクトで電話インタビューや突撃訪問をやる羽目になったり。まあ、相当できなくて強烈に落ち込んで。そもそも身の程を思い知らされることで、ある程度できると思い込んでいた自分の意識過剰が恥ずかしくなる。できないのが実力相応、落ち込むことすらおこがましい。せいぜい客観的に自分を見て努力しなさい、ということで必死でしがみつく。しかし不思議なもので、つい最近はあんなにつらかったアメリカ人へのインタビュー、(もちろんストレスフルだけど)いつのまにかできるようになっている。電話インタビューもかなり気が向かないけど、でも必要があればやるようになった。ちなみに先週はNYでインターン中の仲間でピクニックをして、Tabooゲームというのをやった。ある単語をいくつかのNGワードを避けて表現する、というもので、まったくできなかった。コミュニケーションの壁は高い。

ともあれ、ストレッチをかけるという意味では、MBAの2年間はとてもよいチャンスだと思う。所詮は学校、失敗したからといって失うものは何もないのだ。ビジネスのように、取り返しのつかない損失が発生するわけではないから、そして基本的には他の人に迷惑をかけるわけではないから、思い切ってどんどんやればいい。クラスの友人(アメリカ人)は、人前で話すのが緊張すると言い、緊張がどもりに出るのだが、それを直したいからとどんどん話す。ある日、ジャック・ウェルチが学校で講演した際にも、彼は数百人の聴衆の前で質問した。その質問はウェルチの心に引っかかり、後日ウェルチがテレビに出演した時に言及した。友人はそのことをとても喜んでいた。一つ一つの具体的な行動が、自信に繋がっていく。学ばされることが多い。

MBAも折り返し地点、今度は環境に頼るのではなく、自分でストレッチをかけていかなければならない。こちらでの生活も、地に足が着いてきた。やはりばたばたしているうちは、学びは多いながらもできることは限られる。ようやく物がよく見えるようになってきて、だからこそできることもある。慣れてからが本番。今度はどんな挑戦をしよう。あまり他の人がやっていないことがいい。とはいえあまり構えすぎず、とりあえずアイディアストームくらいは参加しようと思う。

July 1, 2011

Life is good and good in New York

1つ目のインターンがNYのスタートアップで始まっています。仕事はビジネスデベロップメント、要は自分のコネでアポを取り、話を聞きに行く。半分マーケットリサーチ、半分色気ありくらいのさじ加減。事業開発はリレーションシップビルディングであり、I-bankやコンサルではできない経験が得られるはずだ、とはSloan卒業生であるうちのCEOの言葉。ということで、拘束時間はさほどでもないのだけれど、変なプレッシャーがある。まあ外回りばっかだから、傍から見るとただNYを歩き回ってるだけ。ランチにはまり、人気店を回る。汗まみれのスーツなのでドレスコードは完璧。金曜夜から週末はインターン中の同級生と遊ぶ。NY出身のやつらはさすがに慣れてるので、それに乗っかりディープな場所を知る。という感じ。こうした毎日が、何かの役に立つことを願う。