2010-2012年、MIT Sloan MBAプログラムに留学していました。アカデミックな話題から、ボストン生活、趣味まで、日々感じることを書いています。

December 18, 2011

出願戦略について

セカンドラウンドのデッドラインが近づき、今年受験の方は時間との戦いの日々だと思います。今日は出願戦略について、個人的な見解を書きます。

まず、これはよく言われることですが、あまり多くの学校に出すのは効果的ではありません。下手な鉄砲数撃ちゃ、というのはMBA受験においては当てはまりません。気持ちが分散すると作業効率が落ちますし、実は単純に事務的に各校の出願書類をWebで打ち込んでいくだけでも(アップデート、エラーチェックを含め)相当な時間を要します。それよりも、ラウンドあたり最大4校くらいを目安に、とにかくエッセイをしっかり書き込んでいくほうがよほど合格可能性は高まると思います。ここでいうエッセイの書き込みとは、ネタがしっかり揃った後の学校向けカスタマイズを含みます。本当に強いエッセイを書き上げるためには、Why this school?だけでなく出願全体のパッケージを各校ごとに作っていくくらいの気持ちで臨む必要があります。

中身について。出願校確定、各校カスタマイズの前に、まず、自分を一言で言うと?のラベリングは受験において必須と思います。アドミッションは「○○の××さん」というふうに記憶していると言われます。クリアなキャリアゴールとWhy MBA?だけでなく、過去の体験から生まれたValueをもっと研ぎ澄まして、それが学校で自分自身Performし、学年全体の雰囲気を盛り上げることをアドミッションに確信させられるように書き上げてください。キャリア上のエクセレンスは誰もが仕上げてくる中、アドミッションが究極的に欲しいのは顔が見えるパーソナリティです。

そしてValueが整理できてきたところで、学校について。いわゆるドリームスクールのようなものは受験の初期から誰でもあると思うのですが、併願校も含め全体として最終的にどういう学校に出願していくかは悩む方もいると思います。個人的には、大きく3つのグルーピングの方向性があると考えていました。
  • Finance系でさらっとしている
  • GM系でチーム重視
  • 専門的な強みを持つ(ヘルスケア・パブリックマネジメントなど)

プログラムやカルチャーに沿って書くと、そのグループ内のほうが量産しやすい(あまり変えずにFitを伝えやすい)というのは真実です。これはまったくの私見ですが、大きくFinance系/GM系とDry/Wetなカルチャーには相関があります(もちろん例外はありますが)。リジッドに数字で投資判断を求められるファイナンス系は必然的に合理的・ドライになりますし、数字だけでない人心掌握を求められるGM系はやはりエモーショナル・ウェットになります。これは、将来自分がCFOを経由してCEOになるのか、それともCOOを経由してCEOを目指すのか、という大きな道筋と整合します。そして、アドミッションは、こいつはどちらのパスに乗っているか、そうしたクラスメイトとフィットするか、と直感的に判断します。誤解を恐れずに書くと、B-schoolを女性との交際・結婚と例えた時に、お金が好きな女性を選ぶか、それとも信頼を求める女性を選ぶか、同時にそうした女性から選ばれるかということだと思います。エッセイをどれだけ取り繕っても、これまでの人生で積み上げた強固なものを変えることはできません。自分の経験に照らしても、どれだけがんばっても一生好きになってもらえないタイプの女性(=学校)は確かに存在します。そうしたことも踏まえ、出願校を確定されるとよいと思います。

更に、例えば自分が次のようなことを訊かれたらどう答えるか考えてみることも、出願校の確定に役立つかもしれません。以下は私の例です。もちろん人によって状況は異なるかと思いますが、そもそも、とか、究極の選択、とかそういうレベルの問いを投げることによって見えてくるものがあるはずです。
  • ヨーロッパおよびアジアでのビジネスを拡大する際に、米国のB-schoolを志望する理由は?INSEADのフォンテンブロー・シンガポールのほうがよいのでは?
  • チームワーク、狭く濃い人間関係、どれくらい好き?ずっと人といると疲れない?
  • 卒業後ソリッドに使えるプラクティカルな知識・意思決定経験と、ヒエラルキーなしのチームでひたすらコミュニケーションを繰り返す経験とで、2年間で究極的にはどちらを得たい?(100対0ということはあり得ないので、51対49でよいが、どちらか)
  • 今のキャリアでシニアプログラムでなく、レギュラーMBAな理由は?
  • 何でもやりたいとは思うけど、2年間は案外短いので、専攻をひとつ決めなけばならないとすると、何?
このあたりを自分の頭の中でとことんまで整理して、(明示的にではないにせよ)エッセイにほのめかすくらいまでできると、かなり光ると思います。インタビューではこれくらいの想定問答準備は必須です(以上は結果的に、ほぼ私がインタビューで尋ねられたことです)。

これが皆さんの出願戦略検討の一助になれば幸いです。どうかがんばってください。

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