2010-2012年、MIT Sloan MBAプログラムに留学していました。アカデミックな話題から、ボストン生活、趣味まで、日々感じることを書いています。

March 13, 2010

ゲームへの参加資格(その2)

TOEFL受験者にとっての最初のハードルは、画面で英語を読むのに慣れていない、食事なしで長時間の拘束、加えて他の受験生の声が気になる(!)の3つではないだろうか。これは回数をこなすうちに神経が図太くなって慣れてくるので、割り切って臨むしかない。

自分の場合は、約3ヶ月の準備の後、最初に受けた時が80点台後半であった。
  • リーディングは、画面で解くというのに集中できず、時間が足りなかった
  • リスニングは、途中でトイレが我慢できなくなり、1パッセージまるまる逃した
  • スピーキングは、人に聞かれながらマイクに向かってしゃべるのが怖かった(誰も聞いていない)
  • ライティングは、もう英語に疲れて集中力切らしながら書いた

翌月の試験で90点台後半まで向上したものの、100点の壁を超すまでには、そこから実に半年以上かかっている。これからTOEFLに取組まれる方のために、参考までに、私の取組みを紹介したい。

1. 最初の受験まで
各人でどこが弱いかにもよるが、ウォームアップとしては、リーディングとリスニングから取り組むことをお勧めしたい。この2つはインプット系なので、とりあえずとっつきやすいはずだ。そして英語に慣れてきたら次第にアウトプットのスピーキングとライティングを始める(実はその2つの上達に時間がかかるのだが、いずれにせよ地力がないとアウトプットもできない)。

リーディング
トフルゼミナールの市販問題集を使用。量が多い、メソッドが日本人向けなので、比較的アレルギーを感じることなくスタートできる。前から順番に解いていけば次第に力がついてくる。これは大学受験の受験勉強と同じなので、特に迷うこともないだろう。

リスニング
こちらもトフルゼミナールの市販問題集を使用。その後、Compass Publishing社のMastering skill for TOEFL iBT Listening Advancedに移行(日本のものより、本番に近い。新宿高島屋側の紀伊国屋で購入可)。最初は全然理解できなかったが、あまり気にしないでいい。一度解いた後も、何度も何度もiPodで聴き倒す(1問あたりのパッセージが5分くらいという長さに慣れる)。自分の場合は、一度解くことよりも、何度も覚えるまで聞き倒すことが重要であった。あまり深く考えず、毎日通勤時に、辛抱強くiPodを聞いていたところ、ある日突然ブレイクスルーできた。

スピーキング
『基礎からはじめるTOEFLテストワークブック スピーキング編』という市販本が役立った。最初は通しでやってみて、その後はテンプレートを体に染み込ませ、応用が利くようにひたすらシャドーイングする。

ライティング
トフルゼミナールの市販問題集を使用。最初はIndependentからスタートするのがよい。まずは単文から英作文することで、日本語を英語に翻訳する感覚をつける。慣れてきたら、ショック療法的に問題を解き始める。最初は時間制限なしで、どれだけ書けるか試してみる。結果を解答と見比べたり、これを英語で言いたかった、というのを和英辞書を使って調べたりする。数回やってみたら、以降はどれだけ字数が積み上がらなくとも、30分という時間を厳守し、作文を繰り返す。何度も書くうちに、次第に文字数が書けるようになる。ここまで来たら、Integratedも始める。こちらは問題集の最初から順に取組んでいけばよい。

共通
各セクションに通底するトレーニングが、とにかくボキャブラリー。これがスポーツで言うところの体力に当たるため、実は最重要。知らない単語がたくさん出てくる長文では集中力がすぐに途切れてしまうし、リスニングではそもそも知らない単語は聞くことができない。スピーキング・ライティングでも、自分のトータル英単語数の20%程度がアウトプットできる範囲だと言われるので、分母を増やさないことには上達も難しい。そこで具体的には、
・旺文社のTOEFL英単語3800
をひたすら覚えていく。
また、smart. fmというサイトで、ボキャブラリービルディングを毎日1セクション(5~10分程度)でも、例えば朝早めに出勤してやっていくと、単語力(おまけにヘッドフォンをつけるとリスニング力も)が格段に上がる。
http://smart.fm/lists/browse?keyword=toefl

2.  2回目以降
TOEFLは本試験を受けるようになってからがスタートとも言える。決して安いとはいえない受験料なので、一発で目標点が出ればそれに越したことはないが、多くの方は複数回受験することになると思われる。

テストの枠組みも理解し、英語にも徐々に抵抗感がなくなってきているはずなので、もうとにかくETSの問題集をやる。全くのオリジナルのため、(洋書に当たることの抵抗感さえなくなれば)一番役立つ。採点基準を理解すること、問題に慣れること、これがTOEFL攻略に求められるほとんど全てのことである。特にスピーキングとライティングでは、満点の回答と減点されている回答の違いを肌で覚え、ツボを押さえて得点を上げる工夫をすることになる。

不思議と何度受けても同じような点数が出る、自分の英語の実力を正確に測定されてしまうテストと感じる。ある点からは劇的な進歩は難しいが、結局はストレートな語学の試験なので、継続しているとやればやっただけの結果がついてくるはずである。TOEFLは受験回数の制限がないため、最後は各セクションで、自分にとってのベストパフォーマンスが揃うのを待つという、スロットマシンのような感じになるかもしれない。

私も含めた日本育ちの留学志望者にとって、語学はいくらやってもやりすぎということはない。留学後にダイレクトに効いてくるスキルと捉えて地道に取組み、それが良いスコアにつながることをお祈りします。

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